給与保証ありのタクシー会社はどう選ぶ?

給与保証ありのタクシー会社を選ぶなら、保証額が一番高い会社を選べばよいわけではありません。

未経験者が比較したいのは、「いくら保証されるか」だけでなく、「いつから何か月保証されるか」「保証を受ける条件は何か」「保証終了後はいくら稼げそうか」です。

特に重要なのは保証終了後です。

給与保証は未経験者が仕事を覚えるまでの一時的な制度なので、保証期間中に営業方法を身につけ、通常の歩合給へ移ったあとも売上を作れる会社かまで確認する必要があります。

会社選びでは、給与保証を「最初の収入」として見るのではなく、「一人で稼げるようになるまでの猶予期間」として見ると比較しやすくなります。

まず保証額と保証期間をセットで見る

求人では、

「月給40万円保証」

「1年間給与保証」

など、大きな数字が目に入ります。

しかし月額と期間はセットで確認してください。

例えば、

A社
月40万円を3か月、その後35万円を9か月

B社
月30万円を12か月

C社
月30万円を6か月

では、すべて「給与保証あり」ですが内容はかなり違います。

2026年10月時点でも、日本交通では乗務開始後3か月40万円、4~12か月35万円という募集があります。

大和自動車交通では営業地域や勤務形態によって12か月間の保証額が異なり、日の丸交通では営業所配属後12か月間・月30万円、国際自動車では研修終了後6か月間・隔日勤務月30万円という制度があります。

つまり「12か月保証」と書かれているだけでも、毎月の金額まで同じとは限りません。

保証期間の合計金額も一度計算する

月額だけで比較すると、高額な短期保証が魅力的に見えます。

そこで、保証期間全体でいくらになるかも計算してみましょう。

例えば、

40万円×3か月+35万円×9か月
=435万円

30万円×12か月
=360万円

30万円×6か月
=180万円

となります。

ただし、この数字は年収予想ではありません。

保証期間中に歩合計算した給与が保証額を上回れば、それ以上受け取れる会社もありますし、研修期間が別の日給になっている場合もあります。

あくまで「最低限どの程度の収入を確保できる制度なのか」を比較するための数字です。

「入社後12か月」なのか「乗務開始後12か月」なのか確認する

同じ12か月保証でも、いつから数え始めるかによって意味が変わります。

未経験者の場合は、

入社
↓
二種免許取得
↓
社内研修
↓
営業所へ配属
↓
一人で乗務開始

という期間があります。

会社によっては、二種免許取得や研修中は日給を支給し、給与保証はその後から始まります。

例えば日本交通は、配属前の研修期間を日給制とし、給与保証は乗務開始後からです。

日の丸交通も研修期間は日給制で、賃金保証は営業所配属後からとなっています。

国際自動車も、二種免許取得などの基礎研修中は日給制で、研修終了後から月給補償が始まります。

そのため、

「12か月給与保証」

という求人を見たら、

「12か月はいつから数えますか」

を確認してください。

給与保証額は手取りではなく総支給額で考える

「月30万円保証」と書いてあれば、通常は30万円がそのまま銀行口座へ振り込まれるという意味ではありません。

所得税、住民税、健康保険、厚生年金、雇用保険などが差し引かれるためです。

つまり、

月30万円保証
=手取り30万円保証

ではありません。

転職前に毎月必要な生活費があるなら、求人の保証額ではなく手取りまで考えておく必要があります。

例えば毎月手取り25万円程度が必要なのに、額面30万円保証で十分だと思っていると、実際の生活費との間に差が出る可能性があります。

給与保証を比較する前に、自分が最低限必要な手取り額を決めておくと判断しやすくなります。

保証を受ける条件を確認する

給与保証は、どのような働き方をしても無条件で支給されるとは限りません。

会社によっては社内規定があり、勤務日数など一定の条件を満たすことが必要です。

求人では、

「給与保証あり・規定あり」

とだけ書かれていることもあります。

その場合は、

「どの条件を満たせば保証されますか」

と聞いてください。

特に確認したいのは、欠勤した場合や、会社が決めた乗務回数を満たせなかった場合です。

保証額が高くても、自分の生活条件では保証対象になりにくいのであれば、その制度の価値は下がります。

保証額以上を稼いだ場合の扱いも確認する

給与保証は「最大給与」ではありません。

例えば月35万円保証の会社で、歩合計算した給与が45万円になった場合、45万円を受け取れる会社があります。

実際、日本交通や大和自動車交通では、保証額を超える売上を作った場合、その成果を給与へ反映する制度を案内しています。

そのため、

「月35万円保証」

という会社を見つけたら、

「歩合計算した給与が35万円を超えた場合はどうなりますか」

と確認してください。

保証額までしか支給されないのか、通常の歩合給が上回れば高いほうを受け取れるのかで違います。

最も重要なのは保証終了後の給与

給与保証ありの会社を選ぶとき、ここを最優先で確認したいところです。

例えば、

1年間35万円保証

であっても、13か月目から売上が作れず月給25万円になるのであれば、長期的には収入が下がります。

一方、

6か月30万円保証

でも、その期間で営業方法を覚え、7か月目以降に月40万円前後を稼げるなら、長期的な収入は高くなる可能性があります。

保証期間終了後は、多くの会社で通常の基本給・歩合給などによる給与体系へ移ります。

そのため採用担当者には、

「給与保証が終わった翌月から、給料はどのように計算されますか」

と聞いてください。

歩合率だけではなく、具体的な金額まで確認したほうが分かりやすくなります。

売上70万円・80万円で給与を聞く

保証終了後を比較するなら、各社へ同じ売上条件で質問する方法が使えます。

例えば、

「月の営業売上が70万円なら総支給額はいくらですか」

「80万円ならいくらですか」

と聞きます。

A社とB社で歩合率や固定給の仕組みが違っていても、この質問なら最終的な給与を比較できます。

求人の、

「歩合率62%」

「高歩率」

という表示だけより、自分が実際に受け取る金額を判断しやすくなります。

新人がその売上を作れているかまで聞く

売上70万円なら月給40万円になると分かっても、新人が70万円を作れなければ意味がありません。

そこで次に、

「給与保証終了後の未経験入社者は、月の営業売上がどのくらいになっていますか」

と確認します。

可能なら、

「入社1~2年目の平均や多い売上帯はどのくらいですか」

まで聞いてください。

最高売上ではなく、新人に近い人の実績を見ることが重要です。

会社によっては、年収のボリュームゾーンや未経験者の給与例を採用ページで公開しています。

保証期間中に「稼ぎ方」を教えてもらえる会社かを見る

給与保証が本当に役立つかは、保証期間をどう使えるかでも変わります。

保証期間中に、

地理
接客
配車アプリ
無線配車
乗客が多い時間帯や場所
売上の振り返り

などを覚えられる会社なら、保証終了後へつなげやすくなります。

例えば大和自動車交通では、給与保証と合わせて研修や需要予測システムを案内しています。

国際自動車も、給与補償期間を地理や稼ぐコツを身につける期間として位置付けています。

給与保証は生活を守るだけではなく、「売上の作り方を覚える期間」として使える会社を選ぶほうが、その後の収入につながりやすくなります。

配車アプリや無線が弱ければ保証終了後に苦労することもある

未経験者の場合、最初から街を見て、

「この時間ならここへ行けば乗客がいる」

と判断するのは簡単ではありません。

そこで会社の営業環境も確認します。

例えば、

配車アプリ
無線配車
専用乗り場
法人契約
需要予測

などです。

給与保証中は収入が確保されていても、保証が終われば実際の売上が給与へ反映されます。

そのとき、乗客を確保する仕組みが弱ければ自分で営業方法を身につける負担が大きくなります。

保証額が5万円高い会社より、保証終了後に乗客を見つけやすい会社のほうが長期的には合う場合があります。

同じ会社でも勤務形態・営業地域で保証額が違うことがある

給与保証は会社名だけで比較しないほうがよいでしょう。

同じ会社でも、

隔日勤務
昼日勤
営業区域
営業所

などによって条件が変わることがあります。

例えば大和自動車交通では、12か月保証でも東京23区などの営業区域、北多摩地区、昼日勤で保証額が異なります。

国際自動車でも、隔日勤務と日勤で月給補償額が違います。

つまり、

「○○社は1年間35万円保証」

と一つの数字だけを覚えるのではなく、

「自分が希望する営業所・勤務形態ではいくらなのか」

を確認する必要があります。

高額な保証のために希望しない勤務を選ばない

例えば、

隔日勤務なら月35万円保証
昼日勤なら月25万円保証

という会社があったとします。

保証額だけなら隔日勤務を選びたくなるかもしれません。

しかし、夜間まで続く長時間勤務が身体に合わなければ、保証期間中でも仕事を続けにくくなります。

給与保証は勤務形態を決める一つの条件ですが、最優先条件ではありません。

夜勤を避けたい、毎日夜は自宅にいたいなどの条件があるなら、その働き方を維持できる会社の中で保証を比較したほうがよいでしょう。

二種免許取得中の給与も含めて最初の数か月を見る

未経験者は、タクシー営業を始める前に普通第二種免許を取得するケースがあります。

会社が取得費用を負担してくれても、教習・研修期間中の給与が低ければ、転職直後の収入は想定より下がります。

例えば、

A社
乗務開始後12か月35万円保証
研修中は日給1万円

B社
乗務開始後6か月30万円保証
研修中は日給1万2,000円

という違いがあるかもしれません。

保証期間だけでなく、

入社日
↓
研修
↓
乗務開始
↓
保証終了

までの収入を時系列で比べる必要があります。

特に前職を辞めてすぐ入社する人は、最初の給与がいつ振り込まれるかまで確認すると安心です。

法律上の「保障給」と求人の給与保証は別

求人の「未経験者は12か月月30万円保証」と、歩合給の運転者に関する法律上の「保障給」は同じ制度ではありません。

歩合給制度では、労働時間に応じて一定水準の賃金を保障する仕組みが必要です。

タクシーなどの自動車運転者についても、固定的な給与と合わせて通常の賃金の6割以上が保障されるよう保障給を定める考え方が示されています。

一方、

「未経験者は1年間35万円保証」

という制度は、会社が未経験者向けに設けている独自の給与保証です。

求人を見るときに「保障給あり」と「未経験者給与保証あり」が混在している場合は、どちらを指しているのか確認してください。

給与保証ありの3社はこの条件で比べる

候補を3社ほど見つけたら、保証金額だけではなく同じ項目を横並びにします。

比較する項目A社B社C社
保証月額
保証期間
保証開始時点
勤務形態
保証適用条件
研修中給与
保証超過時の給与
保証終了後の給与体系
売上70万円時の総支給
売上80万円時の総支給
新人1~2年目の実績
配車アプリ・無線
乗務後の営業指導

この表を埋めれば、「40万円保証だからA社」という選び方ではなくなります。

給与保証は「終わった後に稼げる会社」を選ぶ

給与保証ありのタクシー会社を選ぶときは、保証額が高い会社を探すだけでは不十分です。

まず、

保証月額
保証期間
いつから保証されるか
適用条件

を確認します。

そのうえで最も重要なのが、

保証終了後の給与
新人の実際の売上
乗客を確保する仕組み
営業方法を教える体制

です。

候補を2~3社選んだら、説明会で、

「給与保証終了後に、営業売上70万円と80万円の場合、それぞれ総支給額はいくらですか」

と同じ質問をしてください。

続けて、

「未経験入社で保証が終了した人は、実際にどの程度の売上になっていますか」

と確認します。

この2つに具体的に答えてもらえれば、保証期間の数字ではなく、「保証がなくなったあとも働き続けられる会社か」で比較できます。

出典

厚生労働省|歩合給制とはどのような制度ですか?制度の概要や留意点を教えてください。

厚生労働省|自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について

日本交通株式会社|タクシードライバー求人サイト

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