二種免許取得支援があるタクシー会社の選び方

未経験からタクシー運転手になるなら、二種免許取得支援がある会社は有力な候補です。

普通第二種免許の取得費用を会社が負担してくれれば、自分でまとまった教習費用を用意せずに仕事を始められます。

ただし、「二種免許取得費用全額会社負担」と書かれている会社なら、どこを選んでも同じではありません。

実際には、

一定期間勤務すれば返還不要
早期退職なら取得費用を返還
会社から貸与して一定年数後に返還免除
教習中にも給与が出る
免許取得後に初めて入社する

など、制度がかなり違います。

さらに、二種免許を取るのはタクシー転職の最初の数週間だけです。

会社選びでは免許取得支援そのものより、

「免許取得中から乗務開始後1年まで、どんな条件で働くことになるのか」

まで比較することが重要です。

「全額会社負担」だけでは会社を選べない

現在のタクシー求人では、未経験者の二種免許取得費用を全額負担する会社が複数あります。

そのため、

会社A 全額負担
会社B 全額負担
会社C 全額負担

と並べても差が分かりません。

次に見るべきなのは「全額負担になる条件」です。

たとえば現在の日本交通では、二種免許取得費用を会社が全額負担する一方、2年以上の勤務を条件としています。

梅田交通グループは会社が全額負担しますが、入社から3年以内に退職した場合は返金が必要と案内しています。

岡山両備タクシーでは会社が取得費用を立て替え、2年以上勤務すれば返還義務がなくなる仕組みです。

求人では同じように「会社負担」に見えても、中身は同じではありません。

最初に確認するのは「何年働けば返還不要か」

二種免許取得支援がある会社を比較するなら、最初に勤務期間の条件を確認します。

たとえば、

会社A 2年以上勤務
会社B 3年以上勤務
会社C 返還条件の記載なし

なら、この時点で違いがあります。

ただし、会社Cについて、

「記載がないから条件なし」

とは判断できません。

求人ページに詳細を書かず、「会社規定あり」としている会社もあります。

応募前に、

「二種免許取得費用は、何年間勤務すれば返還不要になりますか」

と具体的に聞いてください。

そして、できれば入社前に書面で条件を確認します。

「会社負担」と「貸与」は同じではない

二種免許取得支援には、会社が費用を直接負担する形だけではありません。

貸付・貸与方式を採用している会社もあります。

たとえば名鉄東部交通では、普通第二種免許取得費用を会社が貸与し、勤続3年経過後は返還不要としています。

札幌のSKタクシーグループでも、二種免許取得費用について30万円の借入制度を設け、3年経過後に返済を免除する制度があります。

つまり、

会社が最初から負担する制度

と、

いったん貸付扱いになり、一定期間勤めると返済不要になる制度

は分けて確認する必要があります。

求人の「実質会社負担」という表現だけでは、途中退職時にどうなるか分かりません。

早く辞めた場合の金額まで聞く

勤務期間の条件がある場合は、

「途中退職すると返還が必要」

だけでは不十分です。

たとえば3年間の勤務条件なら、

6カ月で辞めた場合
1年で辞めた場合
2年で辞めた場合

に、返還額がどうなるのか確認します。

全額返還なのか。

勤務期間に応じて減額されるのか。

教習費だけなのか。

試験費用なども含むのか。

ここは会社の制度によって異なります。

入社時点では長く働くつもりでも、実際にタクシーへ乗ってみなければ仕事との相性は分かりません。

だからこそ、退職する予定がなくても先に確認しておく必要があります。

免許取得中に給与が出る会社を優先して確認する

未経験者が見落としやすいのが、教習中の収入です。

二種免許代が無料でも、教習中に給与が出なければ、その期間の生活費を自分で用意する必要があります。

現在の大和自動車交通では、研修期間中の日給を1万円としています。

朝日自動車も、二種免許取得費用を全額負担し、教習所へ通っている期間に日給1万円を支給しています。

一方、名鉄東部交通では養成乗務員として契約社員になり、自動車学校通学中を含む養成期間中は日額8,000円です。

会社によって違うため、

「免許代はいくら負担してくれますか」

だけではなく、

「自動車学校へ通っている日は給与が出ますか」

を必ず確認します。

「いつ入社するのか」も会社によって違う

二種免許取得支援では、雇用が始まるタイミングも重要です。

会社によって、

入社
↓
給与を受け取りながら二種免許取得

という形もあれば、

内定
↓
会社支援で二種免許取得
↓
免許取得後に入社

という形もあります。

日本交通のハイヤー採用では、提携教習所で会社負担により二種免許を取得し、免許取得後に入社する流れが案内されています。

一方、大和自動車交通のタクシー採用では、入社後の研修期間中に二種免許を取得します。

この違いは、転職時の収入が途切れる期間に関係します。

現在の仕事を辞めてから転職する人ほど、

「雇用契約はいつから始まりますか」

まで確認したほうがよいでしょう。

免許取得だけでなく研修中の給与総額を見る

未経験から乗務開始するまでには、二種免許取得以外の研修もあります。

たとえば、

二種免許取得
社内座学
接客研修
地理研修
機器操作
同乗研修

などです。

二種免許取得中は日給が出ても、その後の社内研修では別の金額になる場合があります。

そのため、

二種免許取得中の日給
↓
社内研修中の給与
↓
乗務開始後の給与保証

まで一続きで確認します。

免許取得費用だけ比較しても、転職直後に実際いくら受け取れるかは分かりません。

二種免許取得後の研修が薄い会社には注意する

二種免許を取れば、すぐにタクシー営業を問題なくできるわけではありません。

二種免許は旅客運送に必要な運転免許です。

実際のタクシー乗務ではさらに、

営業地域
接客
メーター操作
配車アプリ
無線
事故・トラブル対応
売上の作り方

などを覚える必要があります。

相互タクシーでは、二種免許取得後にタクシーセンター研修や社内教習を行い、実際の営業で側乗しながら接客、機器操作、配車アプリ、営業方法などを教える流れを公開しています。

会社選びでは、

「二種免許を無料で取れるか」

からもう一段進んで、

「免許取得後、一人で乗務するまで何を教えてくれるか」

を確認してください。

免許取得支援より給与保証のほうが金額差は大きくなることがある

二種免許取得支援は魅力的ですが、タクシー会社を長期的に比較すると、それだけが大きな金銭条件とは限りません。

たとえば二種免許取得費用として20万~30万円程度を会社が負担してくれても、その後の給与が毎月5万円違えば、半年で30万円の差になります。

そのため、

二種免許無料

という条件だけで会社を決めず、

給与保証は何カ月か
保証額はいくらか
保証終了後の歩合給はどうなるか

まで比べます。

二種免許支援は入社時の条件。

給与制度は働き続ける限り関係する条件です。

優先順位を逆にしないほうがよいでしょう。

「二種免許無料+長期給与保証」でも配車環境を見る

未経験者にとって給与保証は安心材料になります。

しかし、保証はいずれ終了します。

その後に必要なのは、自分で営業売上を作ることです。

そのため会社選びでは、

無線配車
配車アプリ
専用乗り場
法人契約
固定客

なども確認します。

二種免許取得費用を全額負担し、1年間の給与保証があっても、保証終了後に売上を作れる環境がなければ長期的な収入は安定しません。

「免許を取らせてくれる会社」ではなく、

「免許を取ったあと稼げるように育ててくれる会社」

を選ぶ視点が重要です。

指定教習所まで通えるかも意外に重要

会社が費用を負担する場合、会社指定・提携の自動車学校へ通うことがあります。

神姫タクシーも、会社指定の自動車学校で二種免許を取得する制度です。

相互タクシーも契約している自動車教習所へ入校する仕組みを案内しています。

この場合、

自宅から近い好きな教習所を選べる

とは限りません。

応募前に、

教習所はどこか
通学か合宿か
交通費は出るか
宿泊が必要なら費用は誰が払うか

を確認しておくと安心です。

免許費用が無料でも、遠方の教習所へ何度も通う必要があれば負担になります。

年齢や免許歴によって支援対象外になることがある

「二種免許取得支援あり」と書かれていても、すべての応募者が対象とは限りません。

会社独自の年齢条件を設けている例があります。

名鉄東部交通の養成乗務員は65歳未満を応募条件としています。

SKタクシーグループの一部会社では、二種免許を持っていない人の養成を62歳までとしています。

また、普通第二種免許の原則的な受験資格は21歳以上で、普通免許などの保有期間が通算3年以上です。

所定の受験資格特例教習を修了した場合には、19歳以上かつ普通免許等の保有期間1年以上でも受験できる特例があります。

ただし、その特例教習まで会社の支援対象になるかは会社によって異なります。

普通免許取得から3年未満の人は、

「受験資格特例教習も会社負担の対象ですか」

まで確認してください。

AT限定免許でも応募できる会社は多い

現在は普通一種免許がAT限定でも応募できるタクシー会社があります。

普通第二種免許にもAT限定があります。

そのため、

AT限定だから先に限定解除する

必要があるとは限りません。

会社がAT限定での応募を認め、営業車もAT車なら、会社の取得支援を利用して普通二種AT限定を取得できる場合があります。

求人を見るときは、

普通一種AT限定で応募可能か
取得する二種免許もAT限定でよいか
営業車はAT車か

を確認します。

限定解除を自費でするのは、そのあとでも遅くありません。

教習期間の古い情報には注意する

普通第二種免許の教習制度は2025年9月1日に変更されています。

普通第一種免許を持っている人が普通第二種免許を取得する場合、最低教習時限数は40時限から29時限へ短縮され、制度上の最短教習日数も6日から3日になりました。

ただし、

「3日で必ず免許を取れる」

という意味ではありません。

教習所の日程、技能の習熟度、卒業検定などがあるため、会社が実際に設定する養成期間は別です。

古い求人や体験談を見るより、

「現在は入社から二種免許取得まで平均何日くらいですか」

と応募先へ聞くほうが確実です。

免許を取得できなかった場合も確認しておく

未経験者の場合、教習へ行けば必ず予定どおり取得できるとは限りません。

技能教習が延長になる。

検定を再受験する。

適性試験の基準を満たせない。

こうした可能性があります。

名鉄東部交通では、養成乗務員について最大2カ月の契約社員とし、普通第二種免許を取得できない場合は雇用期間を更新しないことを明記しています。

会社によって扱いは異なります。

応募前に、

「規定期間内に二種免許を取得できなかった場合はどうなりますか」

「追加教習や再検定の費用は誰が負担しますか」

を確認しておくと、想定外を減らせます。

自費で先に取るより会社支援を使うほうがいい?

未経験でこれから会社を探すなら、通常は先に会社を比較するほうがよいでしょう。

理由は、二種免許取得支援がある会社なら、自費負担を抑えられる可能性があるからです。

また、会社指定の教習所からそのまま社内研修へ進めるため、乗務開始までの流れも分かりやすくなります。

一方、

取得費用の返還条件を受けたくない
応募先を決める前に二種免許を持っておきたい

という人なら、自費取得にも意味があります。

ただし、数十万円を先に支払う前に、通勤できる会社の支援条件を確認してから判断したほうが無駄を避けやすくなります。

会社選びでは二種免許支援を6項目に分解する

求人を2~3社比較するときは、「二種免許無料」に丸を付けるだけではなく、次のように分けます。

比較すること確認内容
費用全額負担・一部補助・貸与のどれか
勤続条件何年働けば返還不要か
早期退職途中退職時はいくら返還するか
養成中給与教習中の日給・交通費はいくらか
取得後研修接客・地理・同乗・営業研修があるか
乗務開始後給与保証と通常の歩合制度

この6項目まで並べれば、取得支援制度の実質的な違いがかなり見えてきます。

最終的には「1年間でいくら受け取れるか」で比べる

二種免許取得支援がある会社を選ぶとき、最後は免許代だけで比較しないほうがよいでしょう。

候補会社について、

免許取得中の給与
研修中の給与
乗務開始後の給与保証
保証期間終了後の給与

をつなげます。

たとえば、

会社A
二種免許全額負担
取得中日給1万円
12カ月給与保証あり

会社B
二種免許全額負担
取得中無給
3カ月給与保証あり

なら、同じ「二種免許無料」でも転職初年度の条件はかなり違います。

さらに、会社Aには3年間の返還条件があり、会社Bには別の条件があるかもしれません。

二種免許だけを切り取らず、入社から1年間の条件として比較することが重要です。

3社へ同じ7つの質問をすれば選びやすい

二種免許取得支援のある会社を探したら、候補を3社程度に絞り、同じ質問をしてください。

「二種免許取得費用は全額会社負担ですか、それとも貸与ですか」

「何年間勤務すれば返還不要になりますか」

「それより前に退職すると、いくら返還しますか」

「教習所へ通っている期間の日給はいくらですか」

「交通費や追加教習、再検定の費用は誰が負担しますか」

「二種免許取得後、一人で乗務するまでどんな研修がありますか」

「乗務開始後の給与保証と、保証終了後の給与制度を教えてください」

この回答を横に並べれば、「二種免許無料」という求人広告では見えなかった違いが分かります。

二種免許取得支援は、未経験からタクシー運転手になるための入口として便利な制度です。

しかし、支援制度だけを理由に会社を決めると、免許取得後の給与や勤務条件が自分に合わない可能性があります。

選ぶべきなのは、

「一番安く二種免許を取らせてくれる会社」

ではなく、

「取得費用の条件を納得でき、免許取得中にも生活でき、乗務開始後も収入を作れる会社」

です。

まず通勤できる範囲から3社程度を選び、取得費用・返還条件・養成中給与・取得後研修・給与保証を同じ表へ並べるところから始めてください。

出典

警察庁|普通第二種免許に係る教習カリキュラムの見直しについて
警察庁|第二種免許等の受験資格の見直しについて
日本交通株式会社|千住営業所採用特設ページ
大和自動車交通株式会社|採用よくあるご質問
梅田交通グループ|よくある質問
岡山両備タクシー|募集要項
名鉄東部交通株式会社|募集要項
相互タクシーグループ|採用情報