40代・50代になると、「応募できる求人はあるのに書類選考が通らない」「未経験可でも年齢が気になる」「これといった資格や専門経験がない」と、転職先がなかなか決まらないことがあります。
このような状況なら、タクシー運転手は一度検討する価値がある仕事です。
タクシー運転手になりたいという強い希望がなくても構いません。大切なのは、「今の自分でも採用される可能性があり、生活に必要な収入を得ながら続けられる仕事か」という視点です。
タクシー業界は40代・50代が珍しい業界ではありません。厚生労働省の職業情報提供サイトでは、タクシー運転手の全国平均年齢は56.8歳、有効求人倍率は令和7年度で6.91倍となっています。
ただし、「求人が多いから」「年齢的に入りやすそうだから」という理由だけで決めるのはおすすめできません。勤務時間、給与の仕組み、接客、体調管理などが自分に合うかまで確認して判断する必要があります。
40代・50代でもタクシー運転手が候補になる理由
一般的な未経験転職では、これまでの職歴や専門スキルとのつながりを求められることがあります。
一方、厚生労働省の職業情報では、タクシー運転手になるために学歴や経験は問われないとされています。
仕事には普通自動車第二種免許が必要ですが、第一種免許しか持っていない人を採用し、入社前後に第二種免許を取得させる会社もあります。
実際に現在のタクシー会社の採用情報を見ると、中高年や未経験者を募集し、第二種免許の取得費用を会社が負担している例があります。
つまり、
「タクシー経験がない」
「第二種免許を持っていない」
「40代・50代である」
というだけで、最初から候補から外す必要はありません。
普通免許を持っていて、安全運転と接客を仕事として続けられるなら、異業種からでも検討できる仕事です。
タクシーに乗りたかったわけではなくてもいい
40代・50代で転職先が見つからない人の全員が、昔からタクシー運転手になりたかったわけではありません。
「今の仕事を辞めなければならない」
「未経験で応募できる仕事が少ない」
「できるだけ早く収入を確保したい」
「この年齢から長期間の資格勉強をしている余裕はない」
こうした事情から仕事を探し、その結果としてタクシーに行き着く人もいます。
ここで考えたいのは、「タクシーが好きか」よりも、「今必要としている働き方をタクシーで実現できるか」です。
たとえば、年齢や前職に関係なく応募できる仕事を探しているなら、タクシーは条件に合いやすいでしょう。
一方、毎月ほぼ同じ給与を受け取りたい、人を乗せて運転することに強い緊張を感じる、長時間の運転を避けたいという人なら、採用されやすさだけでタクシーを選ぶと入社後に合わなくなる可能性があります。
「採用されやすそう」と「自分に合う」は分けて考える
タクシー運転手は、車を運転していれば終わる仕事ではありません。
乗客を安全に目的地まで送り、必要に応じてルートを判断し、料金を受け取り、忘れ物や事故などのトラブルにも対応します。接客業としての要素もあります。
また、勤務形態は会社によって異なります。
日中を中心に働く日勤、夜間を中心に働く夜勤のほか、1回の勤務時間が長く翌日が休みになる隔日勤務を採用している会社もあります。
給与についても、固定給だけではなく売上に応じた歩合給を組み合わせる会社が多いため、毎月完全に同じ収入になるとは限りません。
厚生労働省の職業情報では、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした全国の賃金は年収450.8万円となっています。
ただし、これは全国平均です。地域、会社、勤務時間、売上、経験などによって実際の収入は変わるため、「タクシーに転職すれば年収450万円以上になる」という意味ではありません。
自分の場合にタクシーを候補に入れるか
40代・50代で転職先が見つからない場合は、「タクシーに転職するか」をいきなり決める必要はありません。
まず、自分が困っている理由とタクシーの条件が合っているかを見ます。
| 今の状況 | タクシーを検討するときの考え方 |
|---|---|
| 未経験で応募できる仕事が少ない | 未経験募集や第二種免許取得支援のある会社を確認する |
| 学歴や専門資格に自信がない | 学歴・業界経験を応募条件にしていない求人を探す |
| できるだけ早く仕事を決めたい | 募集地域と応募条件を確認し、複数社へ相談する |
| 収入をある程度確保したい | 給与保証期間と、その終了後の給与体系を確認する |
| 夜勤が難しい | 日勤のみで働ける会社があるか確認する |
| 長時間勤務が不安 | 隔日勤務だけでなく日勤の勤務時間も比較する |
| 人付き合いの多い職場が苦手 | 乗務中は一人だが、乗客への接客は必要だと考える |
| 運転はできるが接客が苦手 | 「運転職」だけでなく「接客業」でもあることを踏まえて判断する |
| 毎月一定額の給与が必要 | 歩合給の割合と最低限の固定給を確認する |
ここまで見て「自分にもできそうだ」と思えるなら、タクシーは現実的な転職候補になります。
逆に、運転時間や接客、給与の変動がどうしても合わないなら、年齢的に応募しやすいという理由だけで無理に選ぶ必要はありません。
第二種免許がなくても、先に自費で取る必要はない
タクシーを検討し始めると、「まず第二種免許を取らなければ」と考えるかもしれません。
しかし、会社選びをする前に自費で取得する必要があるとは限りません。
警察庁によると、普通第二種免許の受験資格は原則として21歳以上で、普通免許などを受けていた期間が通算3年以上です。
また、一定の教習を修了した場合には、19歳以上かつ普通免許などの保有期間1年以上まで受験資格を引き下げる特例があります。
40代・50代の場合は年齢そのものが問題になるケースは少ないため、まず確認したいのは自分の免許保有期間と応募する会社の制度です。
タクシー会社によっては、採用後または内定後に提携教習所で第二種免許を取得し、その費用を会社が負担します。
そのため、
「第二種免許を取る」
↓
「タクシー会社を探す」
ではなく、
「応募できるタクシー会社を探す」
↓
「第二種免許取得支援の条件を確認する」
↓
「必要なら会社の制度を使って取得する」
という順番で考えた方が、自己負担を抑えられる可能性があります。
40代・50代ほど「最高月収」より会社の条件を見る
タクシー求人を見ると、「月収50万円可能」「年収600万円以上」といった金額が目に入ることがあります。
しかし、転職先が見つからず焦っているときほど、最高収入だけで会社を選ばない方がいいでしょう。
最初に確認したいのは、入社後に無理なく仕事を覚え、生活を維持できるかです。
特に確認したいのは、給与保証がある期間と金額、その後の固定給と歩合給、第二種免許取得費用の負担条件、勤務形態、配車アプリや無線の利用状況、研修内容、事故時の会社の対応などです。
同じ「タクシー運転手募集」でも、この条件は会社によってかなり違います。
50代から入社して数か月で辞め、再び転職活動に戻るより、自分が続けられる会社を最初に比較する方が重要です。
タクシーを候補にするなら、まず3社程度の条件を並べてみる
タクシーに転職すると決めてから会社を探す必要はありません。
「自分でも採用される可能性があるのか」
「今の収入とどれくらい変わるのか」
「日勤で働けるのか」
「第二種免許の費用は誰が負担するのか」
これを確認するために求人を見るところから始めれば十分です。
1社の求人だけを見ると、その会社の条件が業界全体の普通なのか分かりません。
まず通勤可能な範囲で3社程度を探し、給与保証、保証終了後の給与、勤務時間、第二種免許取得支援、研修、配車方法を横に並べてみてください。
自分で会社を探すのが難しい場合は、タクシー求人を扱う転職サイトや紹介サービスを使い、複数の会社を比較する方法もあります。
応募するかどうかは、条件を見てから決められます。
転職先が見つからないなら「タクシーも含めて探す」でいい
40代・50代で転職先がなかなか決まらない場合、最初から「タクシー運転手になる」と決める必要はありません。
一方で、「タクシーだけは考えていなかった」という理由だけで候補から外してしまうのも早いでしょう。
タクシー運転手の全国平均年齢は56.8歳で、求人需要も高く、未経験者向けに第二種免許取得を支援する会社もあります。
年齢、学歴、前職の業界経験だけを見ると選択肢が狭くなってしまう人でも、応募先を見つけられる可能性があります。
ただし、本当に確認すべきなのは「採用されるか」だけではありません。
自分が無理なく続けられる勤務時間か、生活に必要な収入を確保できるか、接客を含む仕事内容を受け入れられるかまで確認する必要があります。
タクシーに乗りたいかどうかではなく、「今の自分が働ける場所を増やす」という視点で、一度求人条件を見てみる。
転職先が見つからず行き詰まっている40代・50代にとっては、それが最初の一歩になります。
資格や経験がないなら、正社員になれる条件を確認します。
→ 資格なし・未経験でも正社員に転職できる?タクシー運転手という選択
収入を上げたいなら、未経験から狙える年収を確認します。
→ 未経験から収入を上げたい|タクシー運転手ならどこまで狙える?
体力仕事を離れたいなら、負担の違いを確認します。
→ 40代・50代で体力仕事から転職したい|タクシーはどう?
出典
厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag) タクシー運転手
警察庁|第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)
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