女性でもタクシー運転手になることはできます。
全国ハイヤー・タクシー連合会の調査では、2026年3月末時点の女性乗務員は14,388人で、全乗務員の5.9%です。前年より1,310人増え、人数・構成比とも過去最多となっています。
まだ男性が多い業界ですが、女性乗務員そのものは珍しい存在ではなくなっています。
ただし、転職を考えるときは「女性でも採用されるか」だけで判断する必要はありません。
夜勤をする必要があるのか、防犯設備はどこまであるのか、女性用の更衣室やトイレはあるのか、子育て中なら勤務時間を調整できるのか。
自分が実際に働く会社の条件まで確認することが重要です。
女性乗務員は14,000人を超えている
2026年3月末時点で、全国の女性タクシー乗務員は14,388人です。
前年の13,078人から10.0%増えています。
女性乗務員の年齢も特定の年代だけに偏っているわけではありません。
全国調査では、50~54歳が17.1%、55~59歳が17.0%で、50代が最も大きな層です。そのほか40代、60代にも多くの女性乗務員がいます。
つまり、
若い女性しかできない仕事
でも、
子育てが終わった年代しかできない仕事
でもありません。
年齢よりも、運転、勤務時間、生活リズムとの相性を見たほうがよいでしょう。
女性だから仕事内容が変わるわけではない
女性乗務員も基本的な仕事内容は同じです。
乗客を乗せる。
目的地を確認する。
安全に運転する。
料金を受け取る。
無線や配車アプリへ対応する。
車両点検や帰庫後の処理をする。
タクシー乗務に必要な普通第二種運転免許についても、女性だから別の資格が必要になるわけではありません。
未経験者なら、普通第一種免許で応募し、会社の二種免許取得支援を利用できる求人があります。
そのため、運転職の経験がない女性でも応募候補にできます。
夜勤をしなければタクシー運転手になれないわけではない
防犯面や生活リズムから、
「深夜に一人でタクシーを運転するのは不安」
と感じる人もいるでしょう。
タクシー会社によっては、昼勤務、夜勤務、隔日勤務など複数の勤務形態があります。
たとえば現在の名鉄タクシーでは、
昼勤務
夜勤務
隔日勤務
短時間勤務
を用意しています。
国際自動車でも、昼間の日勤と隔日勤務などから働き方を選べる募集があります。
つまり、
タクシーへ転職する
=
必ず深夜まで一人で働く
ではありません。
夜間勤務に抵抗があるなら、最初から昼日勤を募集している会社に絞る方法があります。
夜勤は収入だけでなく防犯と生活リズムも比べる
夜勤務は、深夜早朝の割増運賃や夜間需要があるため、昼勤務より収入を伸ばしやすい会社があります。
一方で、深夜まで働く生活になります。
収入面だけを見て夜勤を選ぶのではなく、
昼間に十分眠れるか
夜間運転を続けられるか
防犯設備が整っているか
深夜でも営業所へ連絡できるか
まで確認したほうがよいでしょう。
夜勤に不安があるなら、まず昼勤務から始められる会社を選ぶ方法もあります。
慣れたら夜勤務へ変更できるかを聞いておけば、最初から働き方を固定する必要もありません。
防犯設備はかなり普及している
現在のタクシーには、車内でのトラブルに備えた防犯設備が広く導入されています。
全国ハイヤー・タクシー防犯協力団体連合会が2026年3月末時点で14万5,822台を調べた結果では、
| 防犯設備 | 設置率 |
|---|---|
| 車内防犯カメラ | 91.1% |
| 車外防犯灯 | 88.4% |
| 緊急通報装置付き無線機など | 75.2% |
| 防犯仕切板 | 72.9% |
となっています。
防犯カメラは車内の状況を記録します。
緊急通報装置は、異常が起きた場合に営業所などへ知らせるための設備です。
防犯仕切板は、運転席と後部座席の間を仕切り、乗務員へ直接手が届きにくくする設備です。
ただし、全国の設置率が高いからといって、自分が応募する会社の全車両にすべて付いているとは限りません。
応募先で実車を確認することが重要です。
「防犯カメラあり」だけではなく緊急時の流れを見る
女性向け採用を進めている会社では、防犯設備と連絡体制をセットで用意している例があります。
日本交通では全車へ防犯カメラを設置し、緊急時には無線センターへ通知する仕組みを案内しています。
名鉄タクシーでも全車へ車内カメラを設置し、異常時に警察への通報などを行える装置を用意しています。
さらに営業基地には24時間365日管理者が待機するとしています。
転職前に確認したいのは、
「防犯カメラがありますか」
だけではありません。
「乗客とのトラブルが起きたら、最初に誰へ連絡しますか」
「深夜でも管理者につながりますか」
「緊急ボタンを押した後はどう対応されますか」
まで聞くと、実際の安全体制が分かります。
防犯面が不安なら車両を見せてもらう
求人ページに「防犯対策充実」と書かれていても、具体的な設備が分からないことがあります。
会社説明会や営業所見学ができるなら、実際の車両を見せてもらうと分かりやすくなります。
確認するのは、
車内防犯カメラ
防犯仕切板
緊急通報装置
ドライブレコーダー
などです。
緊急通報装置については、
どこにあるのか
どう操作するのか
誰へ通知されるのか
まで聞いておけば、設備が付いているだけの会社なのか、実際のトラブル対応まで整えている会社なのか判断できます。
酔客への不安が強いなら勤務時間も会社選びになる
夜間は飲酒後の乗客を乗せる機会があります。
普通に目的地まで乗って帰る人も多いため、飲酒客をすべて危険な乗客と考える必要はありません。
ただし、
泥酔した乗客
暴言を繰り返す乗客
車内でトラブルを起こす乗客
への対応が不安なら、会社の研修内容を確認しておいたほうがよいでしょう。
夜勤そのものを避けたい場合は、昼勤務を選ぶ方法があります。
「高収入のためには夜勤をしなければならない」と決めつけず、安全面と自分が必要とする収入を一緒に考えてください。
女性用の更衣室・トイレがあるかは会社差が大きい
タクシー業界は長く男性乗務員が多かったため、営業所によって女性向け設備には差があります。
現在は女性乗務員の採用を進める会社が増え、女性専用の、
更衣室
トイレ
シャワー室
休憩室
などを整備する会社があります。
たとえば名鉄タクシーは、すべての営業所に女性専用更衣室、シャワー室、トイレを設置し、一部営業所には女性専用休憩室も設けています。
京王自動車も女性専用休憩室を案内しています。
一方で、すべてのタクシー会社に同じ設備があるわけではありません。
ここは求人の「女性活躍中」という言葉だけで判断しないほうがよいでしょう。
営業所のトイレだけでなく乗務中の休憩も考える
タクシー運転手は勤務時間の多くを営業所の外で過ごします。
そのため、
「営業所に女性専用トイレがあります」
だけでは、実際の勤務を十分に判断できません。
会社説明会では、
「乗務員は営業中、どこで休憩することが多いですか」
「営業区域内で利用しやすい休憩場所はありますか」
と聞いてみるとよいでしょう。
特に長時間の隔日勤務を考えているなら、休憩場所やトイレを確保しやすい営業地域かどうかは、毎日の働きやすさに関係します。
子育て中なら短時間勤務を選べる会社もある
タクシー会社によっては、昼勤務だけでなく短時間勤務を用意しています。
名鉄タクシーでは、子育て中の従業員向けに1日6時間程度、原則土日休みの勤務制度を案内しています。
別の勤務案内でも、子どもを預けている時間に合わせて働ける短時間勤務を設け、正社員・パートなどの雇用形態を選べるとしています。
日本交通では、日勤、隔日勤務、時給勤務など複数の働き方を女性向け採用ページで案内しています。
つまり、子育てをしているからタクシー勤務が難しいと一律に決まるわけではありません。
重要なのは、その会社に自分が必要とする勤務制度があるかです。
「子育て支援あり」も中身まで確認する
求人に、
「子育てと両立できます」
と書かれていても、具体的な勤務条件を確認してください。
たとえば、
何時から何時まで働けるか
土日休みを固定できるか
子どもの年齢による利用条件があるか
正社員のまま短時間勤務できるか
急な休みをどう扱うか
です。
短時間勤務制度があっても対象となる子どもの年齢が決まっている会社があります。
「制度あり」という一言ではなく、自分がその制度を利用できるかまで確認する必要があります。
隔日勤務が女性に向かないわけではない
女性だから隔日勤務を避けなければならないわけでもありません。
隔日勤務は一回の勤務時間が長い一方、月の出勤回数が少なく、勤務後に明け休みがあります。
毎日出勤する昼勤務より、隔日勤務のほうが家庭や自分の予定を組みやすいと感じる人もいます。
一方、
長時間勤務が苦手
深夜まで起きているのが難しい
明けの日に十分睡眠を取れない
のであれば、昼勤務のほうが続けやすいでしょう。
性別ではなく、自分の睡眠と生活リズムで選ぶことが重要です。
女性だから収入面で別の給与体系になるわけではない
タクシー会社では、売上に応じた歩合給を採用しているところが多くあります。
会社の賃金制度に従って給与が計算されるため、
「女性だから歩合率が低い」
という前提で求人を見る必要はありません。
ただし、選ぶ勤務形態によって売上や給与が変わることはあります。
たとえば昼勤務より夜勤務のほうが平均売上の高い会社があります。
収入を重視するなら、
女性乗務員の給料
を聞くより、
「希望する昼勤務・夜勤務・隔日勤務で、平均売上と平均給与はいくらですか」
と確認したほうが、自分の転職後の収入を判断しやすくなります。
「女性活躍中」より実際に女性が働いている営業所かを見る
会社全体では女性乗務員がいても、自分が配属される営業所にはほとんど女性がいない場合があります。
女性用設備や勤務相談のしやすさを重視するなら、
会社全体で女性が何人いるか
だけでなく、
「この営業所には女性乗務員が何人いますか」
と確認するとよいでしょう。
実際に複数の女性乗務員が働いている営業所なら、
更衣室や休憩場所
制服
勤務時間
日々の困りごと
について、運用実績がある可能性があります。
可能なら営業所見学時に、女性乗務員の働き方について聞けるか確認してみる方法もあります。
防犯を重視するなら5項目を実車と営業所で確認する
女性だから特別な会社を探す必要はありません。
ただし、防犯や設備を重視するなら、求人票だけで決めず実際の環境を確認したほうがよいでしょう。
| 確認すること | 見る内容 |
|---|---|
| 車内設備 | 防犯カメラ・仕切板・緊急通報装置 |
| 夜間対応 | 深夜でも管理者へ連絡できるか |
| 営業所 | 女性専用トイレ・更衣室・休憩室 |
| 勤務形態 | 昼・夜・隔日・短時間勤務から選べるか |
| 配属実績 | 実際に女性乗務員が勤務しているか |
特に「女性歓迎」という求人なら、この5項目について具体的な説明ができるかを見ます。
最初に会社見学で3つを確認する
女性でもタクシー運転手になることはできます。
現在は全国で14,000人を超える女性乗務員が働き、人数も増えています。
ただし、会社によって働きやすさはかなり違います。
転職候補を2~3社見つけたら、まず会社説明会や営業所見学で、
「希望すれば昼勤務だけで働けますか」
「実際に乗る車の防犯設備を見せてもらえますか」
「女性用の更衣室・トイレ・休憩場所を見せてもらえますか」
の3つを確認してください。
子育て中なら、そこへ短時間勤務や土日休みの条件を加えます。
女性だからタクシー運転手になれるかどうかを心配するより、
「自分が希望する時間帯で、安全設備の整った会社に入れるか」
まで確認するほうが、転職後の働き方を具体的に判断できます。
出典
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会|令和7年度の女性乗務員数の状況について
全国ハイヤー・タクシー防犯協力団体連合会|タクシーの防犯設備設置状況(令和8年3月31日現在)
名鉄タクシーホールディングス株式会社|名鉄タクシーで働く魅力
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