タクシー転職の仕事不安ガイド|道・接客・事故・安全面を確認

タクシー運転手への転職を考えたとき、給料や勤務時間の条件が合っていても、実際の仕事を想像すると不安が出てきます。

「道を全部覚えられる気がしない」
「方向音痴だけど大丈夫なのか」
「知らない地域で働けるのか」
「接客が苦手でもできるのか」
「酔っ払い客とトラブルにならないか」
「事故を起こしたら自分で弁償するのか」

こうした不安は、未経験者なら自然に出てくるものです。

タクシーは、入社したその日から一人で知らない道を走り、すべて自分で対応する仕事ではありません。未経験者を採用する会社では、地理、運転、接客、安全などの研修を行ってから乗務を始める例があります。

一方で、カーナビがあるから道を覚えなくてよい、会社があるから事故やトラブルを何も考えなくてよい、という仕事でもありません。

自分が何を一番不安に感じているのかから、順番に確認していきましょう。

道を全部覚えられないとタクシー運転手になれない?

タクシー未経験者が最初に心配しやすいのが道です。

お客さんから目的地を言われた瞬間に、最短ルートをすべて頭の中で思い浮かべなければならない仕事だと思うと、かなり難しく感じます。

現在のタクシーでは、カーナビゲーションシステムを利用することが一般的になっています。

厚生労働省の職業情報でも、タクシー運転手が使用する機器としてカーナビゲーションシステムが挙げられています。

未経験者向けに地理研修を行う会社もあります。

たとえば国際自動車では、営業エリアの基本的な地理、主要駅、幹線道路、空港や主要施設への行き方などを入社後に学ぶ研修を行っています。

日本交通でも、研修後にベテラン乗務員が同乗し、早道・近道や利用客の多いエリアを指導する仕組みがあります。

そのため、「入社前に街中の道を全部覚えていなければならない」と考える必要はありません。

ただし、厚生労働省も、カーナビを利用することが多くなっていても、迅速に乗客を運ぶためには地理や道路事情を知ることが重要だとしています。

ナビを使いながら、仕事を続ける中で道を覚えていく仕事と考えた方がよいでしょう。

→道を覚えられなくてもタクシー運転手になれる?

方向音痴でも仕事として運転できる?

「道を知らない」と「方向音痴」は少し違います。

地図を見ても自分がどちらを向いているのか分かりにくい、人に道を説明されると混乱するという人もいるでしょう。

方向感覚に自信がなくても、カーナビや配車システムを利用できるため、それだけでタクシー運転手になれないわけではありません。

ただし、ナビの案内をそのまま追うだけでは対応しにくい場面もあります。

渋滞している。
道路工事で通れない。
乗客から別の道を指定される。
目的地の入口が分からない。

こうした状況では、少しずつ地理や道路事情を覚えていく必要があります。

「方向音痴=不採用」と考えるのではなく、ナビを使いながら地理を覚えること自体が苦痛ではないかで考えるとよいでしょう。

→方向音痴でもタクシー運転手になれる?ナビ・土地勘を確認

土地勘がまったくない地域でも働ける?

転職先によっては、自宅周辺ではなく、大都市や隣の地域でタクシーに乗ることもあります。

そこで気になるのが土地勘です。

タクシー未経験で、さらに営業地域にも詳しくないとなると、不安になるでしょう。

しかし、未経験・土地勘なしを前提に地理研修を行っている会社があります。

最初から細い道路まですべて覚えるのではなく、

主要駅
大きな道路
病院
ホテル
繁華街
空港
利用客の多い施設

など、営業上重要な場所から覚えていく方法があります。

一方、自分が知っている地域で働くことにはメリットがあります。

主要道路のつながりや渋滞しやすい場所をすでに知っていれば、乗務開始後の負担を減らしやすいからです。

勤務地を選べるなら、「稼げそうな地域」だけでなく「自分が覚えやすい地域」という視点も持っておくとよいでしょう。

→土地勘がない地域でタクシー運転手になっても大丈夫?

接客が苦手・人見知りでもできる?

タクシーは運転職ですが、同時に接客の仕事でもあります。

乗客を乗せたら、

目的地を確認する
必要ならルートを確認する
安全に送り届ける
料金を受け取る

といったやり取りが必要です。

そのため、「人と一切話したくない」という人には合わない可能性があります。

一方で、営業職や販売職のように、自分から長時間話し続けたり、商品を売り込んだりすることが中心の仕事でもありません。

必要な応対を丁寧にできれば、会話が得意でなければ働けないとは限りません。

厚生労働省の職業情報でも、未経験者は乗務前に研修を受け、最初は経験者が同乗して接客技術などを指導することがあるとされています。

国際自動車などでも、未経験者向けに接客マナーの研修を行っています。

「人見知りだから無理」と決める前に、自分が苦手なのが雑談なのか、それとも知らない人への最低限の応対そのものなのかを分けて考えてみてください。

→接客が苦手・人見知りでもタクシー運転手になれる?

酔っ払い客や車内トラブルが怖い

接客そのものより、「どんな乗客が乗ってくるか分からないこと」が心配な人もいるでしょう。

特に夜間勤務では、酒を飲んだ乗客を乗せる場面があります。

すべての乗客がトラブルを起こすわけではありませんが、暴言、料金トラブル、行き先をめぐるやり取りなどに対応する可能性はあります。

タクシー車両では、車内を含めたドライブレコーダーを導入している会社があります。

国土交通省も、車内ドライブレコーダーについて、乗客とのトラブルが発生した際の状況確認や防犯対策などに活用できるとしています。

また、何か起きたときに運転手一人だけで判断するのではなく、会社へ連絡して指示を受けることになります。

厚生労働省の職業情報でも、事故が起きた場合などは速やかに会社へ連絡し、指示を受けることが業務として示されています。

会社を選ぶときは、

車内カメラがあるか
緊急時に営業所へ連絡できるか
トラブル時の対応方法を研修するか

も確認しておくと安心材料になります。

→酔っ払い客が怖い|タクシー運転手のトラブル対策は?

事故を起こしたら運転手が全部弁償する?

乗客を乗せて長時間運転する仕事なので、事故への不安は無視できません。

「会社の車をぶつけたら修理代を全部払うのか」
「相手への賠償まで自分で負担するのか」

と心配になる人もいるでしょう。

事故時の金銭負担は、会社によって扱いが同じとは限りません。

実際に、事故時の運転手負担をゼロとしているタクシー会社があります。

現在の採用情報でも、日の丸交通は事故や車両損傷時の自己負担なしとしています。

newmo東海も事故時の自己負担0円を募集条件として明示しています。

京成タクシーイーストも、事故時の修理、保険対応、相手との交渉を会社が行い、運転手の事故賠償金負担はないと案内しています。

つまり、「タクシーで事故を起こしたら必ず運転手が自腹になる」と決まっているわけではありません。

反対に、会社によって事故時の扱いが違う可能性がある以上、求人票や面接で確認しておきたい項目です。

→タクシーで事故を起こしたら運転手が弁償する?

会社を比較する段階では、事故負担を条件の一つとして確認できます。

→事故負担なしのタクシー会社とは?求人票で確認するポイント

事故を起こさないための研修や設備も会社選びで見る

事故時の負担だけでなく、そもそも事故を防ぐ仕組みがあるかも重要です。

タクシー事業者には、運転者への安全教育が求められています。

国土交通省は、タクシー向けの安全教育マニュアルを作成しており、ドライブレコーダーの映像を事故や「ヒヤリとした場面」の振り返りに活用する方法も示しています。

会社によっては、ドライブレコーダーや運転データを使って、自分の運転の癖を確認する仕組みもあります。

未経験者の場合、

二種免許を取らせて終わりなのか
実車を使った運転研修があるか
先輩の同乗指導があるか
事故防止研修を継続して行うか

まで確認すると、入社後の安心感は変わります。

運転経験が長い人でも、タクシーでは乗客を乗せた状態で安全に走る必要があります。

「自分は運転に慣れているから大丈夫」と考えるより、安全教育のある会社を選ぶ方がよいでしょう。

女性がタクシー運転手になる場合は夜勤・防犯も確認する

女性でもタクシー運転手として働けます。

国土交通省では、女性ドライバーの採用に向けた設備や勤務体制などを整えるタクシー事業者を「女性ドライバー応援企業」として認定する制度を設けています。

厚生労働省の職業情報でも、女性運転手が増えており、家庭との両立に向けた勤務体制や職場環境を整える事業所があるとされています。

ただし、女性だから一律に昼勤を選ばなければならないわけではありません。

確認したいのは、

夜勤を選ぶ必要があるのか
日勤だけで働けるのか
車内カメラなどの防犯設備があるか
トラブル時の連絡体制があるか
女性用設備が営業所にあるか

といった会社ごとの条件です。

収入だけを見て勤務時間を決めず、自分が安心して続けられる働き方まで確認してください。

→女性でもタクシー運転手になれる?夜勤・防犯・働き方を確認

「自分にできるか」は不安の種類を分けると判断しやすい

タクシー未経験者の不安は、まとめて考えると大きく見えます。

しかし、分けてみると対応できるものもあります。

道が不安なら、カーナビと地理研修を見る。

方向音痴なら、入社後にどのように地理を覚えるかを見る。

土地勘がなければ、研修内容と勤務地を見る。

接客が不安なら、接客研修と実際に必要な会話を確認する。

乗客とのトラブルが不安なら、防犯設備と会社の対応体制を見る。

事故が不安なら、安全研修と事故時の金銭負担を見る。

「タクシーの仕事は怖そうだからやめる」とまとめて判断するより、自分が何を心配しているのかを特定した方が、転職できる仕事かどうかを判断しやすくなります。

不安が残るなら会社選びで解消できるかを見る

タクシーそのものが自分に合わない場合もあります。

しかし、不安の中には「タクシー業界だから仕方がないこと」ではなく、「会社によって条件が違うこと」もあります。

たとえば、

地理研修が充実している
ベテランの同乗指導がある
車内ドライブレコーダーを装備している
事故時の自己負担がない
緊急時の会社サポートがある
日勤を選択できる

といった違いです。

仕事内容への不安を確認して、それでもタクシーを候補に残せそうなら、次は会社ごとの差を見る段階です。

→タクシー会社選びの悩み別ガイド|給与・免許支援・配車・事故負担を確認

特に未経験者が最初に比較したい条件はこちらです。

→タクシー会社はどう選ぶ?未経験者が比較したい条件

タクシー転職では、「自信がついてから応募する」必要はありません。

道、接客、事故、安全面のうち、自分が最も不安なところを確認し、その不安を研修や会社の仕組みでどこまで減らせるかを見る。

それでも続けるのが難しそうなら別の仕事を考え、対応できそうなら会社比較へ進む。

未経験からタクシー転職を判断するなら、この順番で考えると分かりやすいでしょう。

出典

厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag) タクシー運転手

国土交通省|自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル タクシー事業者編

国土交通省|女性ドライバー応援企業 認定制度の創設

国際自動車株式会社|タクシードライバーの研修

日本交通株式会社|未経験でも安心な研修制度

日の丸交通株式会社|採用情報