「今の仕事では収入が上がりそうにない」「転職して年収を上げたい。でも特別な資格や経験はない」。
こうした人にとって、タクシー運転手は検討できる仕事の一つです。
厚生労働省の職業情報では、タクシー運転手の全国の年収は450.8万円です。一方、東京都内の大手タクシー会社では、年収600万円台や700万円以上の乗務員も実際に存在します。
さらに、全国ハイヤー・タクシー連合会が令和7年の賃金統計を分析した資料では、推定年収900万円以上の層も確認されています。
ただし、「未経験で入れば誰でも年収600万円、700万円になる」という意味ではありません。
タクシーは歩合給の影響が大きく、働く地域、会社、勤務時間、配車の仕組み、本人の売上によって収入差が大きくなります。
そのため、収入を上げる目的で転職するなら、「タクシーなら稼げるか」ではなく「どの条件なら今の年収を超えられる可能性があるか」で考えることが重要です。
全国平均は年収450万円前後
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、令和7年の賃金構造基本統計調査をもとにしたタクシー運転手の全国年収を450.8万円としています。
全国ハイヤー・タクシー連合会の資料でも、年間賃金推計額は約450.8万円です。
まず一つの基準として、
年収300万円から400万円程度の仕事から収入を上げたい
現在の会社でほとんど昇給が見込めない
未経験から年収400万円台を目指したい
という人なら、タクシーを調べる意味はあります。
ただし、450.8万円は全国の平均値です。
転職した初年度から必ず450万円を超えることを意味する数字ではありません。
タクシーは「何年勤めたか」だけで給料が決まる仕事ではない
タクシーの収入を考えるうえで、一般的な会社員との大きな違いがあります。
それが歩合給です。
多くの会社では、一定の基本給などに加えて、乗務中の売上が給与へ反映されます。
全国ハイヤー・タクシー連合会も、タクシー運転手について年齢や勤続年数による年功賃金とは異なり、年齢や勤続にかかわらない歩合給を中心とした仕組みで賃金が決まると分析しています。
これは未経験者にとって重要です。
一般的な会社では、
入社1年目
↓
経験を積む
↓
昇進する
↓
何年もかけて給料が上がる
という形になりやすいでしょう。
タクシーでは必ずしもそうではありません。
入社してからの年数が短くても、一定の売上を作れれば収入を上げられる可能性があります。
反対に、長く勤めていれば自動的に高収入になる仕事でもありません。
「未経験から収入を上げたい人」にタクシーが候補になる理由は、ここにあります。
年収500万円台は未経験でも現実に出ている
全国平均だけでは、未経験者がどこまで狙えるのかは分かりません。
そこで、実際の会社が公開している数字を見る必要があります。
国際自動車では、2025年度の隔日勤務の年収ボリュームゾーンを約433万円~約687万円としており、年収700万円以上の社員も在籍しているとしています。
日本交通も、未経験1年目の平均年収として580万円の実績を募集要項で公開しています。
もちろん、東京の大手タクシー会社の数字を全国のタクシー会社にそのまま当てはめることはできません。
しかし、「未経験だから年収300万円程度からしか始められない」と決まっている仕事でもないことは分かります。
特に需要の大きい都市部では、未経験から年収500万円台、条件によっては600万円台以上になる可能性があります。
年収700万円以上は可能だが「普通」とは考えない
現在の募集要項で国際自動車は、年収700万円以上の社員が在籍していることを明示しています。
日の丸交通でも、2025年11月の収入例として、未経験入社1年目で月収58万2,000円、入社3年目で月収72万3,000円という実績を掲載しています。
ただし、1か月の高い給与を12倍して「年収700万円、800万円になる」と考えることはできません。
タクシーの売上は月によって変動するからです。
年収700万円を狙うなら、
需要の大きい営業地域か
配車アプリから十分に仕事が入るか
法人契約や専用乗り場があるか
自分が働ける勤務時間と需要の多い時間が合っているか
歩合率はどうなっているか
などを確認する必要があります。
単に「未経験歓迎」の会社を選ぶだけでは足りません。
年収900万円以上の人もいるが上位層
「タクシーなら年収1000万円を狙える」という情報を見ることもあります。
完全な作り話ではありません。
令和7年の賃金構造基本統計調査をもとに全国ハイヤー・タクシー連合会が分析した資料では、推定年収900万円以上の層が一定程度存在するとしています。
国際自動車も、年収1000万円クラスの乗務員が存在すると自社採用サイトで紹介しています。
ただし、ここを転職後の標準年収として考えるのは危険です。
全国平均が約450.8万円である以上、900万円や1000万円は明らかに上位側の収入です。
したがって、収入目標は、
まず今の年収を超えられるか
次に500万円台を狙える会社か
その先に600万円・700万円以上を狙える環境があるか
という順番で考えた方が現実的です。
未経験から高収入を狙うなら「会社」より先に地域を見る
タクシーの売上は、お客さんが乗らなければ発生しません。
そのため、同じ努力をしても、営業する地域によって売上を作れる条件は変わります。
駅、繁華街、オフィス街、空港、病院、ホテルなどの利用が多い地域と、利用者が少ない地域では状況が違います。
転職先を探すときに「歩合率が高い会社」を最初に探したくなるかもしれません。
しかし、歩合率だけ高くても売上そのものを作れなければ、給与は増えません。
収入を上げる目的なら、
働く地域のタクシー需要
↓
会社にどれくらい配車が入るか
↓
勤務形態
↓
歩合率
という順番でも確認した方がよいでしょう。
配車アプリや法人客の多さも収入に関係する
未経験者にとってもう一つ重要なのが、「自分でお客さんを探し続けなくても仕事が入る仕組み」です。
タクシー会社によっては、配車アプリ、電話予約、法人契約、専用乗り場などから乗車依頼が入ります。
未経験者は、どの場所へ行けば乗客を見つけられるのか分からない状態から始めます。
そのため、会社側から一定量の配車が入る環境は、売上を作るうえで重要です。
高い歩合率だけを見るのではなく、「新人が売上を作る仕組みがあるか」を確認する必要があります。
給与保証中の金額を自分の年収だと思わない
未経験者を採用するタクシー会社には、一定期間の給与を保証しているところがあります。
たとえば、乗務開始後の数か月から1年間、月30万円や35万円などを保証する制度です。
転職直後の生活を安定させるには有利な制度ですが、収入を上げたい人は「保証終了後」を見る必要があります。
月35万円保証なら、
35万円 × 12か月 = 420万円
と考えたくなります。
しかし、保証期間が終われば通常の給与体系へ移ります。
確認すべきなのは、
保証期間中はいくらか
保証はいつ終了するか
保証終了後の平均的な売上はどの程度か
歩合率はどうなるか
です。
収入アップを目的に転職するなら、給与保証は「最初の安全網」であって、将来の収入そのものではありません。
今の年収別に考えると判断しやすい
タクシーへの転職で収入を上げられるかは、現在の年収によっても意味が変わります。
| 現在の年収 | タクシーを検討するときの見方 |
|---|---|
| 300万円未満 | 全国平均との開きが大きく、収入アップの余地を調べる価値がある |
| 300万~400万円台 | 都市部や会社条件によって現在より上を狙える可能性がある |
| 500万円前後 | 全国平均だけを見ると転職メリットは判断できない。会社別実績が重要 |
| 600万円以上 | 高需要地域・高売上の会社でなければ収入が下がる可能性もある |
| 700万円以上 | 上位乗務員の実績まで確認して比較する必要がある |
大切なのは、「タクシーの最高年収」と自分の年収を比較しないことです。
転職判断に使うなら、自分が応募する会社の未経験者が実際にどの程度の収入になっているかを確認します。
年収だけでなく勤務時間とのセットで比べる
収入を上げたいからといって、働く時間を大幅に増やして年収を上げても、本当に転職してよかったとは限りません。
タクシーには、昼の日勤、夜の日勤、1回の勤務時間が長い隔日勤務などがあります。
夜間や需要の高い時間帯を含む勤務では売上を作りやすいことがありますが、自分の生活や体力に合うとは限りません。
比較するときは、
年収500万円でどの勤務なのか
年収600万円で月に何回乗務するのか
深夜勤務をどの程度含むのか
まで見ます。
「年収が高い会社」ではなく、「自分が続けられる働き方で今より収入を上げられる会社」を探す方が現実的です。
収入を上げたいなら3社の「未経験者の実績」を比べる
未経験から収入アップを目指すなら、求人票の「月収50万円可能」「年収700万円可能」という最高例だけを見ない方がよいでしょう。
最初に通勤可能な会社を3社程度選び、次の数字を確認してみてください。
未経験1年目の平均または実績
全乗務員の年収帯
給与保証の期間
保証終了後の給与体系
歩合率
勤務形態
配車アプリや予約客の状況
特に重要なのは、「最高でいくら稼げるか」より「普通に働いた人がどの辺りにいるか」です。
国際自動車のように年収のボリュームゾーンを公開している会社なら、最高年収だけを掲載している求人より判断しやすくなります。
未経験でも収入を上げられる可能性はある。ただし会社選びで大きく変わる
タクシー運転手の全国年収は約450.8万円です。
一方で、都市部の大手会社では500万円台から600万円台の実績があり、700万円以上の社員も存在します。統計上は900万円以上の高所得層も確認されています。
つまり、未経験から収入を上げられる可能性はあります。
しかも、タクシーは勤続年数だけで給与が決まる仕事ではないため、未経験者でも売上を作れれば比較的早い段階から収入を伸ばせる可能性があります。
ただし、年収700万円や900万円を最初から前提にして転職するのは現実的ではありません。
まず自分の現在の年収を書き出し、通勤できる範囲のタクシー会社を3社選んで、「未経験1年目」「年収のボリュームゾーン」「給与保証終了後」の3つを比べてください。
そこで現在の年収を超えられそうかを見る。
収入アップを目的にタクシーへ転職するなら、まずそこから判断するのが現実的です。
まず、タクシー全体の給料・年収を確認します。
→ タクシー運転手はいくら稼げる?給料・年収の仕組み
未経験1年目が気になるなら、初年度の収入を確認します。
→ 未経験1年目のタクシー運転手はいくら稼げる?
収入の安定が気になるなら、給与保証を確認します。
→ タクシー会社の給与保証とは?保証終了後まで確認
出典
厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag) タクシー運転手
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会|「令和7年賃金構造基本統計調査」によるタクシー運転者の現況
国際自動車株式会社|タクシードライバー 募集要項
日本交通株式会社|募集要項
日の丸交通株式会社|採用情報
