一人でできる仕事を探しているなら、タクシー運転手は検討しやすい仕事の一つです。
乗務に出れば、上司や同僚と一日中同じ場所で働くわけではありません。営業する場所や休憩のタイミングなど、自分で判断しながら仕事を進める時間も長くなります。
ただし、「一人でできる仕事」の意味によっては向いていません。
職場の人間関係をできるだけ減らしたい人には合いやすい一方、他人とまったく話したくない人には向きにくい仕事です。
タクシーは一人で動く時間が長くても、乗客を相手にする接客業だからです。
タクシーは「チームで一緒に作業する時間」が少ない
一般的な会社では、上司から指示を受けたり、同僚と相談したり、チームで作業したりしながら一日を過ごす仕事があります。
タクシー運転手は少し違います。
出勤後は点呼や車両点検などを済ませ、車で営業へ出ます。
その後は、乗客を乗せて目的地まで運び、次の乗客を探したり、無線や配車アプリによる依頼へ対応したりしながら仕事を進めます。
常に上司が横にいるわけでも、同僚と同じ作業をするわけでもありません。
「周りの人の仕事に合わせ続けるのが疲れる」
「上司に一日中見られながら働くのが苦手」
という人にとって、この距離感はタクシーの大きな特徴です。
ただし「誰とも関わらない仕事」ではない
ここを勘違いすると、転職後に想像と違ったと感じやすくなります。
タクシーは乗客を安全に目的地まで運ぶサービスです。
乗客から目的地を聞き、必要に応じて経路を確認し、料金を受け取ります。
大きな荷物をトランクへ積んだり、道路状況について質問されたりすることもあります。
事故や忘れ物などがあれば、会社や警察などへ連絡する必要もあります。
つまり、
「同じ同僚と8時間一緒に働く」
ことは少なくても、
「人と接すること自体が少ない」
仕事ではありません。
ここを分けて考える必要があります。
人間関係を減らしたいならタクシーは候補になりやすい
一人でできる仕事を探す理由が、
「職場の人間関係に疲れた」
「上司や同僚にずっと気を使うのが嫌」
「集団で仕事をするのが苦手」
なのであれば、タクシーは比較的検討しやすい仕事です。
乗務中は基本的に自分の車で仕事を進めるため、同僚との人間関係を常に維持しながら仕事を進める必要はありません。
もちろん会社員なので、出勤時の点呼、研修、報告、帰庫後の処理などでは会社の人と関わります。
特に未経験で入社した直後は、先輩乗務員から営業方法や地理について教えてもらうこともあります。
それでも、一般的なオフィスワークのように一日中同じメンバーと机を並べる働き方とはかなり違います。
「接客もしたくない」なら別の一人仕事を考えたほうがいい
一方で、
「人間関係ではなく、人と話すこと自体をできるだけ避けたい」
という理由で一人仕事を探しているなら、タクシーは慎重に考えたほうがよいでしょう。
毎回長時間会話をする必要はありません。
乗客によっては、
「○○駅までお願いします」
「分かりました」
程度でほとんど会話が終わることもあります。
しかし、経路について希望を聞かれたり、乗降場所について相談されたりすることはあります。
乗客によって求める距離感も違います。
静かに乗りたい人もいれば、会話をしたい人もいます。
そのため、「雑談が苦手」程度なら大きな問題にならない可能性がありますが、「知らない人から話しかけられること自体がかなり苦痛」という場合は、仕事内容との相性を確認したほうがよいでしょう。
一人だからこそ自分で判断する場面が多い
タクシーの一人仕事としての特徴は、気楽さだけではありません。
自分で判断しなければならない場面も増えます。
乗客がいないときにどこへ行くか。
駅で待つのか、街を走るのか。
いつ休憩するのか。
交通状況を見ながらどのルートを走るのか。
こうした判断を乗務員自身が行う場面があります。
厚生労働省の職業情報でも、乗客の状況によって長時間の連続運転になる場合があり、休憩のタイミングはある程度個人の裁量になるとされています。
「細かく指示されるより、自分で決めて動きたい」という人には向きやすい部分です。
反対に、
「次に何をすればいいか常に指示してもらいたい」
という人は、一人で判断する時間が負担になる可能性があります。
一人で働くことと自由に働くことは同じではない
タクシー運転手は一人で動く時間が長いですが、好き勝手に働けるわけではありません。
会社員として働く以上、勤務時間や会社のルールがあります。
出勤時には健康状態や酒気帯びの有無などを確認する点呼があり、車両の点検も行います。
営業を終えれば、売上金の処理、日報、車両の状態の報告なども必要です。
事故などが起きれば会社へ連絡し、指示を受けます。
つまり、
「上司や同僚が常に近くにいない」
という意味では一人仕事ですが、
「会社から完全に独立して働く」
仕事ではありません。
ここを混同しないことが大切です。
一人の時間が長いからこそ孤独を感じる人もいる
職場の人間関係が少ないことは、人によってはメリットですが、別の人にとってはデメリットになります。
誰かと相談しながら仕事を進めるほうが安心できる人の場合、一人で長時間乗務することを孤独に感じる可能性があります。
特に未経験のうちは、
「この場所で待っていていいのか」
「もっと売上を上げるにはどこへ行けばいいのか」
「さっきの乗客への対応は正しかったのか」
など、不安になることもあります。
そのため未経験者の場合は、「一人で働ける会社か」だけでなく、「困ったときに相談できる会社か」も重要です。
先輩乗務員と情報交換できる、営業方法を教えてもらえる、事故やトラブル時にすぐ会社へ連絡できるなど、必要なときだけ助けを求められる環境のほうが始めやすいでしょう。
一人で仕事をしたい理由によって向き不向きが変わる
「一人でできる仕事がいい」と言っても、理由は人によって違います。
自分が何を避けたいのかを分けると、タクシーが合うか判断しやすくなります。
| 一人で働きたい理由 | タクシーとの相性 |
|---|---|
| 上司と一日中一緒にいたくない | 合いやすい |
| 同僚とのチーム作業を減らしたい | 合いやすい |
| 自分で考えて仕事を進めたい | 合いやすい |
| 休憩のタイミングをある程度自分で決めたい | 合いやすい |
| 職場の雑談や付き合いを減らしたい | 比較的合いやすい |
| 知らない人と話したくない | 合いにくい |
| 接客そのものを避けたい | 合いにくい |
| 自分で判断するのが苦手 | 合いにくい |
| 一人で長時間過ごすのが苦手 | 合いにくい |
「人が嫌だから一人仕事」とだけ考えるより、このように理由を分けたほうが転職後のズレを減らせます。
配車アプリがあっても完全に指示待ちの仕事にはならない
現在は、会社からの無線配車だけでなく、スマートフォンの配車アプリを利用するタクシーも増えています。
そのため、以前より自分で乗客を探し続けなくても仕事を受けられる環境があります。
ただし、配車アプリがあれば何も考えなくてよいわけではありません。
乗客がいない時間をどう使うか、どこへ移動するか、いつ休むかなど、乗務員自身が考える場面は残ります。
一人仕事としてタクシーを選ぶなら、この「自分で考えて動く時間」を自由と感じるか、負担と感じるかが一つの境目になります。
一人で働きたいなら勤務形態も確認する
タクシーには、昼日勤、夜日勤、隔日勤務などがあります。
一人で働くこと自体が苦にならなくても、長時間一人で乗務することが合うとは限りません。
特に隔日勤務では、一回の勤務が翌日にまたがることがあります。
厚生労働省の現行基準でも、隔日勤務については2暦日の拘束時間が原則22時間以内などの基準が設けられています。
「一人のほうが気楽だから」という理由だけで勤務を選ばず、一回の勤務時間まで見ておくことが重要です。
長時間一人で乗るのが苦手なら、昼日勤などを選べる会社を探す方法もあります。
未経験者は「放っておいてくれる会社」より「必要なときだけ頼れる会社」を選ぶ
一人で仕事をしたい人ほど、
「できるだけ干渉されない会社がいい」
と考えがちです。
しかし、未経験からタクシーへ転職する場合は、完全に放っておかれる会社が働きやすいとは限りません。
最初は営業地域、乗客への対応、機器の使い方、売上の作り方など、分からないことがあります。
そのため、
乗務中は一人で働ける
↓
困ったときは会社へ連絡できる
↓
帰庫後には必要なら先輩へ相談できる
くらいの距離感が、未経験者には現実的です。
タクシー会社を比較するときは、「人間関係が少なそう」という印象だけで決めず、研修や乗務開始後のサポートも確認しておきましょう。
一人でできる仕事を探しているなら、まず「何を避けたいか」を決める
タクシー運転手は、一人で仕事を進める時間が長い職種です。
そのため、
「職場の人間関係を減らしたい」
「チーム作業より一人で動きたい」
「細かく指示されるより自分で判断したい」
という人には、転職候補になりやすいでしょう。
一方で、
「人と話したくない」
「接客したくない」
「自分で判断したくない」
のであれば、タクシー以外の仕事も比較したほうがよいでしょう。
最初にすることは、いきなりタクシー会社へ応募することではありません。
自分が一人で働きたい理由を、
「同僚との人間関係を減らしたい」
「接客も含めて人との接触を減らしたい」
「自分のペースで仕事をしたい」
のどれに近いのか、一度分けてみてください。
そのうえでタクシー会社を2~3社見て、乗務中の裁量、勤務形態、配車方法、研修、困ったときのサポートを比較すると、自分が求めている「一人でできる仕事」に近いか判断しやすくなります。
出典
厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag) タクシー運転手
厚生労働省|統計からみるハイヤー・タクシー運転者の仕事
厚生労働省|ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示
国土交通省|事業用自動車の安全対策
