交通違反歴があってもタクシー運転手になれる?

過去に交通違反があっても、それだけでタクシー運転手になれないとは限りません。

速度超過や一時不停止などの違反歴が一度あるからといって、一律にタクシー会社へ応募できなくなる制度ではありません。

ただし、タクシーは乗客を乗せて運転する仕事です。

そのため会社の採用では運転歴だけでなく、事故・交通違反歴を確認されることがあります。現在の累積点数、免許停止や取消しの状況、違反の内容や時期によっても扱いは変わります。

交通違反歴が気になる人は、「違反があるか」だけではなく、「いつ・何の違反をして、現在どのような免許状態なのか」まで整理してから応募しましょう。

軽い違反が1回あるだけで応募できなくなるわけではない

タクシー会社の採用条件を見ると、

「過去に交通違反をしたことがある人は応募不可」

という全国共通の条件が設定されているわけではありません。

実際、大和自動車交通は面接で聞く内容として、

・志望動機
・職歴
・運転歴
・事故違反歴

などを挙げています。

つまり、事故・違反歴は確認項目の一つです。

ただし同社も、公式採用情報で「違反歴が1回でもあれば不採用」といった一律の基準は公表していません。

採用基準は会社によって異なります。

そのため、過去に軽微な違反があるだけで、自分からタクシー転職を諦める必要はありません。

問題になりやすいのは「違反あり・なし」より現在の状態

交通違反歴を見るときは、次のように分けると分かりやすくなります。

状況確認したいこと
数年前に軽微な違反が1回いつの違反か
最近複数回違反している現在の累積点数
過去に免許停止になった停止時期と現在の免許状態
免許取消しを受けた欠格期間が終了しているか
飲酒運転など重大違反処分内容と現在の免許状態
人身事故歴がある事故内容・処分・その後の運転状況

例えば、数年前に一時不停止が1回あった人と、最近短期間に何度も違反している人では、会社側から見た安全運転への評価も同じとは限りません。

重要なのは、「違反歴がある」という一言だけで判断しないことです。

二種免許を取れるかも確認する

タクシーへ乗務するには普通第二種運転免許が必要です。

原則として普通免許などを受けていた期間が通算3年以上必要ですが、この免許経歴からは免許停止期間が除かれます。

例えば普通免許を取得してからちょうど3年程度しか経っておらず、その途中で長期間の免許停止があった場合は、二種免許の受験資格となる免許経歴に影響する可能性があります。

なお、一定の教習を修了すれば、19歳以上・普通免許などの保有期間1年以上へ受験資格を緩和する制度もあります。

過去に免停がある人で免許取得からの期間が短い場合は、「取得日から何年経ったか」だけではなく、二種免許の受験資格を運転免許試験場などで確認したほうが確実です。

免許取消しの場合は「昔の違反」と同じではない

免許取消しを受けた場合は、軽微な交通違反とは分けて考える必要があります。

取消処分には、一定期間免許を再取得できない「欠格期間」が伴う場合があります。

例えば飲酒運転でも、違反内容によって免許停止になる場合と、免許取消しになる場合があります。

現在まだ欠格期間中であれば、新たに二種免許を取得してタクシー乗務を始めるという状態ではありません。

過去に取消処分を受けたことがある人は、

・何の違反だったか
・取消日はいつか
・欠格期間はいつ終了したか
・現在どの免許を持っているか

をまず確認してください。

会社の採用基準と免許制度は別に考える

ここは特に誤解しやすいところです。

法律上、現在有効な免許があり二種免許を取得できる状態だからといって、すべてのタクシー会社が必ず採用するわけではありません。

会社は乗客を乗せる運転手を採用するため、独自に事故・違反歴を採用判断に使うことがあります。

反対に、過去に違反歴があるからといって、法律上タクシー運転手になる資格を永久に失うわけでもありません。

つまり、

「免許制度上、乗務できるか」

と、

「応募した会社の採用基準を満たすか」

は別の確認が必要です。

会社ごとの具体的な「○点までなら採用」「○年前なら問題ない」といった基準は、公開されていないこともあります。

その場合は採用担当者へ確認するのが確実です。

自分の違反歴が分からないなら運転記録証明書で確認できる

昔の違反について、

「何年前だったか覚えていない」

「何点だったか分からない」

という人もいるでしょう。

自動車安全運転センターでは「運転記録証明書」を発行しています。

運転記録証明書では、過去5年・3年または1年間の、

・交通違反
・交通事故
・運転免許の行政処分

の記録を確認できます。

また、「累積点数等証明書」を取得すれば、現在の交通違反・交通事故の点数が何点になっているかを確認できます。

面接前に自分の状況を把握したいのであれば、この2つを使い分けると分かりやすくなります。

知りたいこと確認する証明書
過去の違反・事故・処分運転記録証明書
現在の累積点数累積点数等証明書

記憶だけで面接へ行くより、自分の運転歴を正確に把握しておくほうが安心です。

面接で違反歴を聞かれたら隠さない

タクシー会社の面接では、事故・違反歴について聞かれることがあります。

ここで、

「言わなければ分からないだろう」

と考えるのはおすすめできません。

タクシー運転手は安全性が特に求められる仕事です。

違反歴そのものよりも、事実と違う説明をすることのほうが採用上問題になる可能性があります。

例えば、

「3年前に速度超過が1回あります。それ以降は出発時間に余裕を持ち、速度を意識して運転しています」

のように、

何があったか
↓
その後どう変えたか

まで説明できるようにしておくとよいでしょう。

違反を繰り返している場合は少し慎重に考える

交通違反歴がある人でも、内容によって意味は異なります。

特に、

・最近何度も違反している
・免停を繰り返している
・重大な速度超過がある
・飲酒運転歴がある
・重大事故による処分歴がある

といった場合は、軽微な違反が過去に一度ある場合と同じようには考えないほうがよいでしょう。

タクシー会社にとって事故は、乗客だけでなく会社の事業そのものにも大きく影響します。

採用基準に該当するかは会社によって異なりますが、安全運転を仕事にする以上、最近の運転状況は重要な判断材料になり得ます。

まず現在の点数や処分状況を正確に把握してください。

75歳以上は過去3年の一定の違反歴にも注意

高齢になってからタクシー乗務を続ける場合には、別の制度も関係します。

75歳以上で運転免許を更新する人のうち、過去3年間に一定の違反歴がある場合は、運転技能検査の対象になります。

対象となる違反には、

・信号無視
・速度超過
・横断歩行者等妨害
・携帯電話使用等
・安全運転義務違反

などがあります。

運転技能検査に合格しなければ免許を更新できません。

第二種免許の場合は、第一種免許より高い合格基準が設定されています。

60代からタクシーを始め、70代まで続けたいと考えている人は、「採用時に問題ないか」だけでなく、将来の免許更新についても知っておくとよいでしょう。

タクシー乗務後の重大違反は登録にも影響する

法人タクシーに乗務するには、二種免許だけでなくタクシー運転者としての登録も必要です。

国土交通省は、登録されたタクシー運転者が悪質な法令違反をしたり重大事故を起こしたりした場合、登録を取り消す制度を設けています。

登録を取り消されると、一定期間タクシーへ乗務できなくなる場合があります。

つまり、採用されてからも安全運転を続けることが重要です。

普通の自家用車以上に、「違反をしないこと」が仕事を続けられるかに直接関係する職業だと考えておきましょう。

違反歴がある人は応募前に3つ確認する

交通違反歴が気になっているなら、まず次の順番で確認してください。

1つ目は、運転記録証明書などで過去の違反・事故歴を正確に把握することです。

2つ目は、現在の累積点数や免許停止・取消しなどの状態を確認することです。

3つ目は、応募したいタクシー会社へ、自分の違反歴で応募可能か確認することです。

問い合わせるなら、

「3年前に速度超過が1回あります。現在は有効な普通免許を持っており、その後違反はありません。未経験乗務員として応募できますか」

のように、時期・内容・現在の状態を伝えると会社側も回答しやすくなります。

「違反歴がありますが大丈夫ですか」だけでは判断材料が足りません。

交通違反歴があっても最初から諦めなくてよい

過去に交通違反があるからといって、それだけでタクシー運転手になれないとは限りません。

特に、何年も前の軽微な違反が一度あるというだけなら、自分で「タクシーは無理」と決める必要はありません。

一方で、最近違反を繰り返している場合や、免許停止・取消し、飲酒運転、重大事故などがある場合は、現在の免許状態と会社の採用基準を個別に確認する必要があります。

まず自動車安全運転センターの運転記録証明書で、過去の違反・事故・行政処分を確認してください。

そのうえで応募候補を2~3社選び、「この違反歴で応募可能か」を採用担当者へ具体的に確認します。

違反の有無だけで悩むより、

「いつ」
「何をしたか」
「現在何点か」
「その後違反があるか」

まで整理することが、タクシー転職の最初の確認になります。

出典

警察庁|第二種免許等の受験資格の見直しについて

警視庁|受験資格

警察庁|運転技能検査について

自動車安全運転センター|運転経歴に係る証明書

国土交通省|タクシー運転者登録制度を全国に拡大します

大和自動車交通株式会社|採用よくあるご質問