タクシー会社の給与保証は、同じ保証額・同じ給与制度なら3か月より6か月、6か月より1年のほうが収入面では安心です。
ただし、会社選びを「保証期間が一番長い会社」で決めるのはおすすめできません。
実際の求人では、
3か月は月32万円
6か月なら月30万円
のように、期間によって保証額が変わる会社があります。
また、1年間保証でも12か月間ずっと同額とは限りません。最初の3か月は月40万円、その後9か月は月35万円という会社もあれば、営業区域や勤務形態によって年間保証額が変わる会社もあります。
比較するときは、
「何か月保証されるか」
ではなく、
「保証期間中に合計いくら確保でき、保証終了後にいくら稼げそうか」
まで見ることが重要です。
給与保証は未経験者が売上を覚えるまでの制度
タクシー会社では、乗務員自身の営業売上が給与へ反映される歩合給を採用する会社が多くあります。
未経験者は、乗務を始めた直後から経験者と同じように売上を作れるとは限りません。
営業地域の特徴を覚える。
乗客が多い場所や時間を覚える。
配車アプリや無線を使う。
休憩の取り方を覚える。
こうした期間の収入を安定させるために、会社独自の給与保証を設けている求人があります。
なお、求人にある「未経験者は6か月30万円保証」と、法律上の歩合給における「保障給」は別のものです。
求人の給与保証は、各社が未経験者向けなどに設けている採用条件として確認する必要があります。
3か月保証は期間が短い代わりに金額が高い場合がある
3か月保証だから条件が悪いとは限りません。
実際に京西交通では、未経験者が、
3か月間・月32万円
または
6か月間・月30万円
から選べる制度を案内しています。
単純に保証額を合計すると、
3か月×32万円=96万円
6か月×30万円=180万円
です。
6か月保証のほうが保証される総額は大きくなりますが、3か月保証は毎月2万円高く設定されています。
さらに同社は、先輩乗務員の多くが3か月以内に月32万円を上回る実績を出していると案内しています。
このような会社なら、
「3か月後には通常の歩合給でも保証額以上を狙えそうか」
が選択の境目になります。
3か月保証が向きやすいのは早く通常給与へ移りたい人
3か月保証を検討しやすいのは、
営業経験や運転経験がある
新しい道を覚えるのが苦にならない
保証終了後に収入が多少変動しても対応できる
生活費としてある程度の貯蓄がある
といった人です。
特に、保証期間中でも通常の歩合計算額が保証額を上回れば高いほうを支給する会社なら、「保証が短い=3か月間しか稼げない」という意味ではありません。
早い段階で自分の売上による給与が保証額を上回れば、保証制度そのものを使わない月も出てきます。
一方、3か月後にまだ営業方法を十分つかめていなければ、その時点から収入が下がる可能性があります。
ここが3か月保証の注意点です。
6か月保証は仕事を覚える期間と収入安定のバランスを取りやすい
未経験者なら、6か月保証は比較しやすい期間です。
現在のタクシー求人でも6か月保証を設けている会社があります。
第一交通グループの一部求人では、未経験者に6か月間の給与保証を設定しています。
東日本交通でも、未経験者に6か月間月給30万円の保証を設けています。
半年あれば、季節による違いも一部経験できます。
入社直後だけでなく、営業地域、配車、時間帯による需要の違いを覚えながら、通常の歩合給へ移る準備をしやすくなります。
一方、1年間保証と比べれば、保証が切れる時期は早くなります。
6か月保証なら「7か月目」を必ず確認する
6か月保証の求人で最も重要なのは、7か月目の給与です。
たとえば、
6か月間30万円保証
なら、保証総額は単純計算で180万円です。
しかし、7か月目から歩合制へ移ったときに、
売上50万円なら総支給はいくらか
売上60万円ならいくらか
売上70万円ならいくらか
が分からなければ、長期的な収入は判断できません。
給与保証期間だけを見るのではなく、「保証がなくなった最初の月」を想像することが重要です。
1年保証は収入の心配を減らして仕事を覚えやすい
収入の安定を優先するなら、1年間保証は大きなメリットがあります。
大和自動車交通では、未経験者について乗務開始後12か月の給与保証を設けています。
東京23区などの隔日勤務では、
35万円×8か月
+
30万円×4か月
で年400万円相当の保証です。
日本交通では、
3か月間は月40万円
その後9か月は月35万円
という1年間の保証制度を案内しています。
この場合、単純合計では435万円になります。
1年間収入の下限が見えやすいため、転職直後の生活費が心配な人には安心材料になります。
1年保証でも「12か月ずっと同じ金額」とは限らない
「1年保証」という文字だけを比べないことも重要です。
大和自動車交通では、営業区域や勤務形態によって保証額が異なります。
隔日勤務でも営業区域によって年400万円相当と340万円相当があり、昼勤務・夜勤務では年300万円相当という条件があります。
つまり、
A社:1年間月25万円
B社:6か月間月35万円
なら、単純な保証総額は、
A社=300万円
B社=210万円
です。
A社のほうが保証総額は大きいものの、毎月必要な生活費が30万円なら、月25万円では不足します。
保証期間だけでなく、毎月の金額も重要です。
長期保証なら必ず得というわけではない
たとえば、
会社A
1年間25万円保証
会社B
6か月35万円保証
を考えます。
会社Aの保証総額は300万円。
会社Bは210万円です。
これだけなら会社Aが有利に見えます。
しかし会社Bで7か月目以降、通常の歩合給によって毎月40万円を稼げるなら、
最初の6か月:210万円
後半6か月:240万円
年間:450万円
という可能性もあります。
反対に、保証終了後の売上が伸びなければ、会社Aのほうが安心だった可能性があります。
だからこそ、給与保証は期間だけで優劣を決められません。
保証中に歩合給が保証額を超えたらどうなるかを見る
会社によっては、保証期間中でも営業成績から計算した給与が保証額を上回れば、高いほうを支給します。
大和自動車交通では、保証期間中でも営業収入による給与が保証額を超えれば、その分を収入へ反映するとしています。
第一交通グループの求人でも、売上を確保できた場合は保証額に上乗せする制度を案内しています。
このタイプなら1年保証でも、
「1年間ずっと保証額しかもらえない」
わけではありません。
一方、会社によって計算方法は異なります。
応募前に、
「保証額を超える歩合給になった場合は、高いほうが支給されますか」
と確認してください。
研修期間と給与保証期間の開始日は同じとは限らない
給与保証期間で見落としやすいのが開始時期です。
未経験者の場合、
入社
↓
二種免許取得
↓
社内研修
↓
乗務開始
という期間があります。
「入社後6か月保証」なのか、
「乗務開始後6か月保証」なのか
では、実際に営業しながら保証を受けられる期間が違います。
研修期間中は給与保証とは別の日給を支給する会社もあります。
求人票で「6か月保証」と見つけたら、
「保証期間は入社日からですか、それとも初乗務からですか」
まで確認してください。
保証を受けるための条件も確認する
給与保証は、無条件で必ず支払われるとは限りません。
求人に「社内規定あり」と記載されている場合があります。
勤務日数、欠勤、遅刻など、会社が定める条件を満たす必要がある場合があります。
また、
未経験者だけが対象
隔日勤務だけが対象
特定の営業所だけが対象
といった条件が付くケースもあります。
「1年間保証」と書かれていても、自分の希望する昼日勤では6か月しか対象にならない、といった可能性もあるため、応募する勤務条件で確認する必要があります。
3か月・6か月・1年はこう考えると分かりやすい
期間だけで選ぶものではありませんが、自分の状況を整理する目安にはできます。
| 保証期間 | 検討しやすい状況 |
|---|---|
| 3か月 | 早く売上を作る自信があり、収入変動にも対応できる |
| 6か月 | 未経験で、仕事を覚える時間と収入安定を両方取りたい |
| 1年 | 転職後の収入をできるだけ長く安定させたい |
ただし、これは会社の営業条件が同程度の場合の考え方です。
1年間保証でも配車が少なく、保証終了後に売上を作りにくい会社なら、6か月保証でも配車・研修が充実した会社のほうが長期的な収入を作りやすい可能性があります。
住宅ローンや家族の生活費があるなら期間より月額を見る
毎月必要な生活費が決まっている人は、保証期間より月額を優先します。
たとえば毎月30万円の総支給額が最低限必要なら、
1年間25万円保証
では生活条件を満たしません。
一方、
6か月35万円保証
なら最初の半年は条件を満たします。
その場合は、7か月目以降も30万円以上を維持するにはどの程度の売上が必要なのかを確認します。
自分の最低必要月収を先に決めておくと、長い保証という言葉だけに引っ張られなくなります。
貯蓄に余裕がない人は長めの保証を重視しやすい
逆に、転職直後に収入が下がると生活が難しい人は、長めの保証を重視する意味があります。
特に、
前職を退職してから入社する
住宅ローンや家賃が大きい
扶養する家族がいる
貯蓄を取り崩したくない
という場合です。
未経験からタクシーへ入ると、売上の作り方を覚えるまでに時間がかかる可能性があります。
この時期を焦らず過ごせること自体が、長期保証の価値です。
保証期間が長くても営業を覚えなければ意味がない
1年間保証があると、
「1年間は売上を気にしなくていい」
と考えたくなるかもしれません。
しかし、保証はいつか終わります。
保証期間中こそ、
どの時間帯に乗客が多いか
どこで待つと効率がよいか
配車アプリをどう使うか
自分の1乗務あたりの売上はいくらか
を確認していく必要があります。
保証終了直前まで保証額だけを受け取り、その後初めて通常の歩合給を意識するのでは遅くなります。
1年間保証の価値は、「1年間売上を考えなくてよい」ことではなく、「収入を守りながら1年間で営業方法を身につけられる」ことです。
給与保証は4つの数字を並べて比べる
候補の会社が見つかったら、保証期間だけを一覧にするのではなく、次の4つを並べます。
| 比較する数字 | 確認する内容 |
|---|---|
| 毎月の保証額 | 月いくら保証されるか |
| 保証総額 | 期間中に合計いくら確保できるか |
| 新人の実績 | 保証額を超えるまで通常どの程度かかるか |
| 保証終了後 | 同じ売上なら総支給額はいくらになるか |
さらに、保証期間の起算日と適用条件も確認します。
これで3か月・6か月・1年を同じ土俵で比較できます。
迷ったら「保証終了翌月の給料」で比べる
3か月・6か月・1年のどれがいいか迷ったら、候補会社へ同じ質問をしてください。
「保証終了後に月売上60万円なら総支給はいくらですか」
「月売上70万円ならいくらですか」
「未経験者は通常、何か月目くらいから保証額を超えていますか」
ここまで聞けば、
3か月でも十分そうなのか
半年程度は必要そうなのか
1年間の安心を優先したほうがよいのか
を自分の条件で判断できます。
同じ会社・同じ保証額・同じ給与制度なら、保証期間が長いほうが収入面のリスクは小さくなります。
しかし実際の求人では、保証額も営業環境も保証終了後の歩合制度も違います。
給与保証3か月・6か月・1年を比べるなら、
期間
×
毎月の保証額
×
保証後に稼げる金額
の3つで判断してください。
最初に候補を3社程度選び、それぞれ「保証総額」と「保証終了翌月の給与例」を書き出すと、自分に合う会社がかなり見えやすくなります。
出典
厚生労働省|歩合給制とはどのような制度ですか?制度の概要や留意点を教えてください。
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