タクシー運転手は売上ノルマがある?売上が低い月の給料も確認

タクシー運転手に、業界共通の売上ノルマがあるわけではありません。

実際に「売上ノルマなし」と明記しているタクシー会社がある一方、一定の営業収入を基準とする会社もあります。

注意したいのは、ノルマがない会社でも、売上が給料と無関係になるわけではないことです。

タクシー会社では売上に応じた歩合給を採用しているところが多いため、売上が低い月は歩合部分が減り、給料が下がる可能性があります。

転職前には「ノルマがありますか」だけではなく、売上が低かった月に総支給額がいくらになるのかまで確認することが重要です。

売上ノルマがないタクシー会社は実際にある

タクシー会社によって売上に対する考え方は違います。

現在の採用情報でも、日本タクシーは「ノルマなし」とし、未経験者でも自分のペースで働けると案内しています。

西武ハイヤーも営業ノルマなしと明記しています。

山手交通も厳しいノルマを設けていないとし、売上のために無理な運転をすることより、安全や休日取得を重視する方針を示しています。

つまり、

「タクシー運転手になったら全員毎月○万円以上売らなければならない」

という仕組みではありません。

求人を選べば、売上ノルマを設定していない会社で働くこともできます。

一方で売上基準を設けている会社もある

売上ノルマを設ける会社がないわけでもありません。

日立自動車交通では、タクシー業界でノルマを「足切り」「未基準」などと呼ぶ場合があると説明し、自社では営業収入の基準を設けていると案内しています。

つまり、

ノルマなしの会社
売上基準がある会社

の両方があります。

また「足切り」という言葉の使い方や給与への影響も会社によって異なります。

そのため、求人に「足切りあり」と書かれていても、その一言だけで厳しい会社とは判断できません。

基準へ届かなかったときに給与がどう変わるのかまで確認する必要があります。

「目標売上」と「達成必須のノルマ」は分けて考える

会社から、

「1乗務○万円を目指しましょう」

と言われることと、

「○万円に届かなければ給与計算が変わる」

ことは同じではありません。

タクシーは売上が給与へ反映される仕事なので、会社が営業目標を示したり、自分で目標売上を決めたりすることはあります。

一方、給与計算上の基準として一定の営業収入を設定する会社もあります。

転職時には、

「営業目標ですか」

「給与計算に関係する基準ですか」

を分けて聞くと分かりやすくなります。

ノルマなしでも売上が低ければ給料が下がることはある

ここは特に誤解しやすいところです。

「ノルマなし」

だから、

「売上が低くても毎月同じ給料」

とは限りません。

厚生労働省の職業情報でも、タクシー会社では基本給などに加え、売上高に応じて給与を支払う歩合制度を採用している事業所が多いとされています。

たとえば、

固定給20万円
+
売上に応じた歩合給

という会社なら、売上が低い月でも固定部分がありますが、歩合部分は少なくなる可能性があります。

つまり、

ノルマの有無=売上が給与へ影響するか

ではありません。

ノルマがなくても歩合制なら、売上は給与に影響します。

売上が低い月の給料は給与体系によって変わる

タクシー会社の給与は、大きく見ると固定部分と歩合部分の組み合わせによって違います。

たとえば次のように考えると分かりやすくなります。

給与の仕組み売上が低い月
固定給+歩合給固定部分はあり、歩合部分が減りやすい
歩合給の割合が大きい売上による給与変動が大きくなりやすい
給与保証期間中条件を満たせば保証額が適用される場合がある
足切りあり基準未達時の計算方法を会社ごとに確認
足切りなし売上に応じた歩合給そのものは変動する場合がある

同じ月売上50万円でも、会社が違えば給与額は違います。

そのため「月売上が低かったらいくらになるか」は、自分が応募する会社の給与計算を見なければ分かりません。

売上が少なければ給料がゼロになるわけではない

歩合給と聞くと、

「お客さんを乗せられなかったら給料がほとんど出ないのでは」

と心配する人もいるでしょう。

しかし、雇用されている労働者について、成果が少なければ働いた時間に対する賃金まで自由にゼロにできるわけではありません。

労働基準法では、出来高払制・歩合給制で働く労働者について、労働時間に応じた一定額の賃金を保障することが求められています。

自動車運転者の歩合給についても、固定的給与と合わせて通常の賃金の6割以上が保障されるよう保障給を定める基準があります。

さらに地域別最低賃金も適用されます。

そのため、

「売上ゼロなら給与もゼロ」

という単純な仕組みではありません。

ただし、法律上の保障と、会社が求人で示す「月35万円給与保証」などは別の制度です。

固定給がある会社なら低売上時の見通しを立てやすい

売上が安定するか不安な人は、固定給の金額も確認すると会社を比較しやすくなります。

たとえば西武ハイヤーでは、

固定給
+
諸手当
+
歩合給

という給与体系を公表しています。

このような会社なら、売上が変わると歩合部分は動いても、給与すべてが売上だけで決まる仕組みではありません。

一方、歩合給の比重が大きい会社では、売上による月収の変動も大きくなりやすくなります。

「安定を優先したいのか」

「売上を伸ばして高収入を狙いたいのか」

によって、給与体系の見方も変わります。

足切りなしでも「売上を気にしなくていい」わけではない

最近の求人では「足切りなし」を特徴として掲げる会社もあります。

足切りがなければ、一定の売上基準へ届いたかどうかで歩合計算が大きく変わる心配を減らせます。

ただし、歩合給がある以上、

売上50万円の月
売上70万円の月

で給与が同じになるとは限りません。

「足切りなし」

は、

「売上に関係なく固定給」

という意味ではありません。

ここを混同しないようにしてください。

売上が低い月に会社へ不足額を払うという意味でもない

売上基準があると、

「基準50万円なのに45万円しか売れなかったら、5万円を自分で会社へ払うのか」

と心配する人もいるかもしれません。

一般にタクシーでいう足切りや売上基準は、給与計算上の基準として使われるものです。

基準へ届かなかったから、その不足売上をそのまま乗務員が会社へ補填するという意味ではありません。

確認するべきなのは、

基準未達だと歩合給がどう変わるか
固定部分はいくら残るか
賞与や手当に影響するか

です。

未経験者なら給与保証中は売上不安を減らせる場合がある

未経験者向けに一定期間の給与保証を設ける会社があります。

たとえば乗務開始後、

月35万円を12か月保証

といった制度です。

この場合、会社の定める条件を満たしていれば、乗務開始直後に売上が十分作れなくても一定額を確保できる場合があります。

一方で、給与保証はずっと続くものではありません。

本当に確認したいのは、保証終了後です。

「保証が終わった翌月に売上50万円だったら、総支給額はいくらですか」

まで聞いておくと、転職後の収入をイメージしやすくなります。

売上ノルマがない会社でも売上指導はある

ノルマなしの会社でも、

「もっと売上を伸ばしたい」

という乗務員への営業指導を行うことがあります。

どこで乗客を探すか。

どの時間帯にどのエリアへ行くか。

配車アプリや専用乗り場をどう利用するか。

こうした指導は、必ずしもノルマとは同じではありません。

山手交通では、乗務開始後のフォローアップ研修で売上相談や同乗指導を行っています。

未経験者の場合は、

「ノルマがないから何も言われない会社」

より、

「ノルマはないが、売上を作る方法は教えてくれる会社」

のほうが働きやすい可能性があります。

ノルマなしだけを理由に会社を選ばない

「売上ノルマなし」は魅力的な条件です。

ただし、それだけで会社を決めるのは早いでしょう。

たとえば、

会社A
ノルマなし
配車が少ない
給与保証なし

会社B
営業売上の基準あり
配車が多い
1年間給与保証あり

なら、自分にとってどちらが安心かはノルマだけでは判断できません。

会社選びでは、

売上基準
給与計算
新人の平均売上
配車環境
給与保証

までセットで確認します。

求人票で「ノルマなし」を見つけたら給与欄も見る

求人に「ノルマなし」と書かれていたら、次に給与欄を見ます。

確認するのは、

固定給はいくらか
歩合給はどのように計算するか
足切りはあるか
売上が低い月の総支給額はいくらか
未経験者向け給与保証はあるか

です。

逆に「ノルマあり」「足切りあり」と書かれている場合も、すぐ候補から外す必要はありません。

どのくらいの売上基準なのか。

新人の平均売上はいくらなのか。

基準へ届かなかったときに給与がどうなるのか。

ここまで分かってから判断します。

会社へ3つの売上額で給料を聞けば分かりやすい

タクシー会社の給与制度は、文章で聞くと複雑です。

そこで、具体的な売上額を出して聞いてみます。

たとえば、

「月売上40万円の場合、総支給はいくらですか」

「月売上50万円の場合はいくらですか」

「月売上60万円の場合はいくらですか」

と質問します。

さらに、

「このうち会社が目標や基準としている売上はいくらですか」

と聞きます。

これで、

売上が低いときの給与
売上基準前後の変化
歩合給の増え方

を確認できます。

候補が3社なら、すべて同じ売上額で聞けば比較も簡単です。

タクシー運転手に業界共通の売上ノルマがあるわけではありません。

ノルマなしの会社もあれば、足切り・未基準などと呼ばれる営業収入の基準を設けている会社もあります。

そして重要なのは、ノルマがなくても歩合給なら売上が低い月は給与が下がる可能性があることです。

転職前には、

「売上ノルマがありますか」

だけで終わらせず、

「売上40万円・50万円・60万円の場合、それぞれ総支給額はいくらになりますか」

まで確認してください。

その数字が分かれば、売上が思うように伸びなかった月でも生活できる会社なのかを判断できます。

出典

厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag) タクシー運転手
厚生労働省|歩合給制とはどのような制度ですか?制度の概要や留意点を教えてください。
厚生労働省|最低賃金額以上かどうかを確認する方法
日本タクシー株式会社|採用サイト
日立自動車交通グループ|よくあるご質問
西武ハイヤー株式会社|タクシー乗務員・求人採用サイト
山手交通株式会社|タクシードライバー採用サイト