タクシー運転手はいくら稼げる?給料・年収の仕組み

タクシー運転手の給料は、一般的な会社員のように毎月ほぼ同じ金額が支給されるとは限りません。

多くの会社では、基本給などに加えて、自分が乗客を乗せて得た売上に応じて給与が増える「歩合給」が使われています。

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、2025年のタクシー運転手に対応する全国の年収は450.8万円です。

単純に12か月で割ると月平均約37.6万円になりますが、この年収には賞与なども含まれるため、「毎月37.6万円もらえる」という意味ではありません。

さらにタクシーは、会社、営業地域、勤務形態、歩合率、配車環境などによって収入差が出やすい仕事です。

転職前は「年収○万円可能」という数字だけでなく、どうすればその給料になるのかまで確認することが重要です。

タクシー運転手の平均年収は450.8万円

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」に掲載されている2025年のデータでは、タクシー運転手に対応する全国の年収は450.8万円となっています。

同じデータで平均年齢は56.8歳です。

年収450.8万円を単純に12か月で割ると、1か月平均では約37.6万円です。

ただし、この数字は実際に働いている人の賃金統計を基にした年収です。

新人が入社した瞬間から年収450万円になることを保証する数字ではありません。

また、地域や会社によっても売上環境が違うため、全国平均だけを見て転職後の収入を決めつけないほうがよいでしょう。

求人賃金20.9万円なのに平均年収450万円なのはなぜ?

同じjob tagを見ると、ハローワーク求人の月額賃金は全国平均20.9万円となっています。

ここで、

「月20万円なら年収250万円くらいでは?」

と思うかもしれません。

しかし、年収450.8万円と求人賃金20.9万円は別の統計です。

数字何を表しているか
年収450.8万円実際に働いている人の賃金統計を基にした年収
求人賃金20.9万円ハローワーク求人に掲載された月額賃金の平均

タクシーでは、求人に基本となる月給を表示し、それとは別に売上に応じた歩合給が加わる会社があります。

そのため、求人欄の「月給21万円」だけを見ても実際の収入は分かりません。

反対に、「月収50万円可能」と書いてあるから毎月50万円が保証されるわけでもありません。

タクシー求人では、月給欄だけを見るのではなく、歩合給まで含めた給与計算方法を確認する必要があります。

タクシーの給料は売上によって変わる

タクシー会社では、乗務員自身の営業売上を給与計算に使う会社が多くあります。

例えば非常に単純化して、

歩合給の対象となる売上が80万円
歩合率が60%

という仕組みなら、

80万円 × 60% = 48万円

という考え方になります。

ただし、実際の給与をこの計算だけで出せる会社ばかりではありません。

基本給がある会社、一定の売上を超えた部分にだけ歩合を付ける会社、各種手当が加わる会社、賞与を支給する会社などがあります。

同じ「歩合率60%」でも給与計算が同じとは限りません。

そのため、歩合率だけを比較して会社を選ぶのも注意が必要です。

固定給+歩合とオール歩合では収入の動きが違う

タクシーの給与制度はいくつかあります。

業界ではA型・B型・AB型などと呼ばれることもありますが、未経験者が転職先を探す場合は名称を覚えるより、実際の計算方法を見るほうが重要です。

大きく分けると次のように考えられます。

給与の形特徴
固定給中心毎月の固定部分が比較的大きく、売上によって歩合が追加される
固定給+歩合一定の基本給に売上連動部分が加わる
歩合中心売上に応じて月給が大きく動く
歩合+賞与歩合の一部などを賞与として支給する仕組みがある

例えば国際自動車の2026年10月時点の求人では、「月給20万9,033円~+歩合給+諸手当」という給与体系です。

一方、日の丸交通は「オール歩合給」と明記しています。

同じタクシー運転手でも給料の作り方そのものが違うわけです。

なお、会社員として働くタクシー運転手は、オール歩合だから売上ゼロなら賃金もゼロでよいというわけではありません。

出来高払制では労働時間に応じた保障給を設けることが労働基準法で求められています。

給与保証は「歩合給とは別に上乗せ」ではない

未経験者向け求人でよく見るのが給与保証です。

例えば2026年10月時点の採用情報では、

会社例未経験者向け給与保証
日本交通乗務開始から3か月40万円、4~12か月35万円
国際自動車研修終了後6か月30万円(隔日勤務)
日の丸交通営業所配属後12か月30万円
大和自動車交通勤務地域・勤務形態によって12か月の保証あり

などがあります。

ただし、給与保証を、

「歩合給40万円+保証40万円」

と考えてはいけません。

基本的には、未経験でまだ十分な売上を作れない期間に、一定額の給与を確保するための制度です。

会社によっては、歩合計算による給与が保証額を上回った場合は高いほうを支給する仕組みになっています。

また、給与保証には勤務日数などの条件が設定されている場合があります。

保証金額だけではなく、適用条件まで確認してください。

本当に年収600万円や800万円を稼げる?

年収600万円以上を得ているタクシー運転手は実際にいます。

例えば東京都内の大手タクシー会社の採用情報では、国際自動車が2025年度の隔日勤務について年収約433万円~687万円をボリュームゾーンとして掲載し、700万円以上の社員もいるとしています。

日本交通の採用情報でも、年収800万円以上の乗務員や、それを上回る年収例が掲載されています。

大和自動車交通も、未経験入社1年目の平均年収を550万円以上とする採用実績を公開しています。

そのため、

「タクシーでは年収600万円以上は不可能」

というわけではありません。

ただし、これらは東京都内の特定会社の実績や採用例です。

全国平均の450.8万円とは分けて考える必要があります。

会社の最高年収や高収入者の事例だけを、自分が入社した後の想定年収に使わないようにしましょう。

年収が変わるのは歩合率だけではない

タクシーで稼げるかどうかは、本人の努力だけで決まるわけではありません。

同じように働いても、会社や営業地域によって乗客を乗せられる環境が違います。

例えば収入に関係するのは次のような部分です。

条件収入への関係
営業地域乗客数や利用単価が違う
配車アプリ自分で探さなくても注文が入る機会が増える
無線配車会社から乗客を紹介してもらえる
専用乗り場乗客を確保できる場所がある
法人契約ビジネス利用などにつながる
勤務時間帯昼・夜で需要が変わる
乗務回数営業できる回数が変わる
歩合制度同じ売上でも支給額が変わる

求人を見るときに「歩合率61%」だけを比較しても、実際に売上を作れる環境が弱ければ高収入につながらないことがあります。

逆に歩合率が少し低くても、配車アプリや無線、法人客などから乗客を得やすければ、最終的な給与が高くなる場合があります。

昼日勤・夜日勤・隔日勤務でも収入は変わる

タクシーには複数の勤務形態があります。

昼間だけ働く昼日勤、夕方から深夜・早朝を中心に走る夜日勤、1回長時間勤務して翌日を明け休みにする隔日勤務などです。

勤務時間帯が違えば、乗客の利用状況も変わります。

夜間には帰宅客や会食後の利用などが増える地域があります。

一方、昼間には病院、買い物、仕事での移動などがあります。

「夜勤のほうが必ず稼げる」「隔日勤務なら必ず高収入」と単純には決められません。

重要なのは、自分が無理なく続けられる勤務形態で、どの程度の売上を作れる会社なのかです。

給与が高くても勤務を続けられなければ、転職先としては合いません。

賞与がある会社は「何を原資にしているか」まで見る

タクシー求人では「賞与年3回」といった表記もあります。

ただし、一般企業の賞与とまったく同じ仕組みとは限りません。

月々の売上に応じて賞与額が決まる会社もあれば、給与体系そのものに賞与部分を組み込んでいる会社もあります。

反対に日の丸交通のように、歩合給を毎月支払い、賞与や歩合の積立制度を設けていない会社もあります。

そのため、

A社 月給35万円+賞与
B社 月給40万円・賞与なし

という表示だけを見てA社が高収入とは判断できません。

年間でいくら受け取れる仕組みなのかを見る必要があります。

給与保証が終わった後の金額を確認する

未経験転職で最も注意したいのは、入社直後より給与保証終了後です。

例えば最初の1年間が月30万円保証なら、その期間の生活設計は立てやすくなります。

しかし13か月目から歩合中心の給与になれば、売上によって月収が変動する可能性があります。

応募前には採用担当者へ、

「保証期間終了後の新人乗務員は、実際にどのくらいの給与になっていますか」

と聞いてみてください。

最高月収ではなく、

「入社1~2年程度の人の平均やボリュームゾーン」

を聞くほうが、自分の転職後を考える材料になります。

求人では5つの数字を同じ条件で比較する

タクシー会社の給料を比較するときは、年収例だけを見るのではなく、次の項目を同じ表に並べると分かりやすくなります。

確認項目見る内容
基本部分月給・基本給はいくらか
歩合何に何%を掛けるのか
給与保証金額・期間・適用条件
賞与回数だけでなく計算方法
実績新人の平均・中央値・ボリュームゾーン

ここまで確認すれば、

「月給20万円と書いてある会社」

と、

「月給30万円保証と書いてある会社」

を表面の金額だけで比べずに済みます。

年収450万円を基準にして自分の条件で確認する

2025年の全国データでは、タクシー運転手に対応する年収は450.8万円です。

まずはこれを一つの参考値にできます。

一方、都市部の会社では年収600万円、700万円を超える乗務員の実績も公開されています。

つまりタクシーは、

「誰でも高収入になる仕事」

ではありませんが、

「売上によって平均以上を狙える給与制度がある仕事」

とはいえます。

転職前にまず候補の会社を3社選び、「保証終了後の給与制度」「歩合の計算方法」「新人1~2年目の実績」「配車アプリ・無線などの営業環境」を比較してください。

その4点が分かれば、最高年収の広告ではなく、自分が実際にどの程度稼げそうなのかを判断しやすくなります。

なお、ここで紹介した年収や月収は税金・社会保険料などを差し引く前の金額です。

実際の手取り額は年齢、扶養家族、社会保険、住民税などによって変わるため、年収450万円なら手取りはいくらと一律には決められません。

次に読む記事


未経験1年目が気になるなら、初年度の収入を確認します。
→ 未経験1年目のタクシー運転手はいくら稼げる?

給料の計算方法を知りたいなら、歩合給を確認します。
→ タクシー運転手の歩合給とは?給料の計算方法を解説

収入の安定が気になるなら、給与保証を確認します。
→ タクシー会社の給与保証とは?保証終了後まで確認

求人の高収入例が気になるなら、見方を確認します。
→ タクシー求人の「月収50万円可能」は本当?求人票の見方

出典

厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag)「タクシー運転手」

厚生労働省|労働基準法

厚生労働省|自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について

日本交通株式会社|タクシードライバー求人サイト

国際自動車株式会社|タクシードライバー 募集要項

大和自動車交通株式会社|タクシー乗務員 未経験者中途採用

日の丸交通株式会社|採用情報