タクシーの昼勤と夜勤はどっちが稼げる?収入と生活を比較

タクシーの昼勤と夜勤を比べると、一般には夜勤のほうが高い売上・収入を狙いやすい傾向があります。

夜は深夜早朝の割増運賃があり、終電後など長距離利用が発生しやすい時間帯も含まれるためです。実際に昼勤・夜勤それぞれの給与実績を公開しているタクシー会社でも、夜勤の平均給与が昼勤を上回る例があります。

ただし、「夜勤を選べば必ず稼げる」という意味ではありません。

営業地域、配車数、勤務時間、歩合率などによって売上は変わります。さらに夜勤では生活が昼夜逆転しやすく、続けられなければ高い収入も維持できません。

会社を選ぶときは、昼勤と夜勤の月収例だけではなく、同じ営業所での平均売上と勤務時間を比べることが重要です。

昼勤と夜勤では働く時間帯が大きく違う

タクシーの日勤には、主に昼間に働く「昼日勤」と、夕方から深夜・翌朝にかけて働く「夜日勤」があります。

厚生労働省でも、タクシーの代表的な勤務体系として昼日勤・夜日勤・隔日勤務を紹介しています。

勤務時間は会社によって異なります。

たとえば大和自動車交通では、昼間勤務・夜間勤務を月24回乗務、1乗務7時間7分30秒としています。

別の会社では、昼勤が7時から18時、夜勤が17時から翌5時といった勤務例もあります。

つまり「昼勤と夜勤の違い」は単純に時計をずらしただけとは限りません。

求人を比べるときは、勤務開始・終了時刻だけでなく、休憩を含めた拘束時間や月の乗務回数まで確認する必要があります。

収入だけなら夜勤のほうが高い例が多い

昼勤と夜勤の両方について給与実績を公開している会社を見ると、夜勤が高い例があります。

名鉄タクシーでは、2023年の勤務別実績として、

勤務形態平均月額給与平均年収
昼勤務266,608円3,733,661円
夜勤務403,401円5,818,097円

と公表しています。

名古屋MKタクシーでも、2024年12月度のタクシー部門平均月収は、

昼勤:375,178円
夜勤:493,338円

とされています。

藤沢市のフジ交通も募集時の目安として、

昼日勤務:月20万~30万円
夜日勤務:月30万~50万円

と案内しています。

複数社で夜勤のほうが高い数字が確認できます。

ただし、会社も集計期間も勤務時間も異なるため、これらの数字を横並びにして「夜勤なら昼勤より必ず○万円高い」と考えることはできません。

見るべきなのは、自分が応募する会社の同じ営業所・同じ給与制度での差です。

夜勤が稼ぎやすい理由の一つが深夜早朝割増

タクシー運賃には深夜早朝割増があります。

原則として午後10時から午前5時までの運送に適用され、割増率は2割です。

たとえば名古屋地区でも、22時から翌朝5時までは深夜早朝割増として2割増が設定されています。

夜勤なら、この時間帯を営業時間として多く含めることができます。

同じ距離を乗車しても深夜時間帯は売上が高くなりやすいため、歩合給のタクシー運転手にとって夜勤が有利になる要因の一つです。

ただし、ここで注意したいことがあります。

「運賃2割増」と「給料2割増」は同じ意味ではありません。

割増運賃は乗客が支払うタクシー料金の仕組みです。

実際の給与は、その売上を会社の歩合制度などに当てはめて計算されます。

夜勤には賃金上の深夜割増もある

さらに、午後10時から午前5時まで働く労働者には、労働基準法上の深夜割増賃金も関係します。

この時間帯の労働については、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払う必要があります。

ここもタクシーの深夜早朝割増運賃とは別物です。

夜勤では、

乗客側のタクシー運賃に深夜早朝割増がある
働く側にも深夜労働の割増賃金がある

という2つの仕組みがあります。

実際に歩合給へどのように深夜割増賃金を反映するかは、応募する会社の賃金制度を確認する必要があります。

終電後は長距離利用を狙えることがある

夜勤が稼ぎやすい理由は、割増だけではありません。

夜には飲食店や繁華街から帰宅する利用者や、終電後に移動する利用者が発生します。

国際自動車でも、夜日勤について、夜間は深夜割増に加えて昼間より遠距離利用が多くなりやすいため、効率よく稼げるという乗務員の声を紹介しています。

三和交通も、夜勤について夜間割増料金によって平均単価が高くなり、昼勤より高収入を得やすい勤務としています。

一方で、この需要は地域によって違います。

繁華街や鉄道駅が多い都市部と、夜間の人の移動が少ない地域では同じではありません。

「夜ならどこでも稼げる」とは考えないほうがよいでしょう。

昼勤にも朝・昼ならではの需要がある

昼勤は深夜割増がないため、夜勤より必ず売上機会が少ないわけではありません。

朝には通勤や駅への移動があります。

昼間には、

病院への通院
買い物
高齢者の移動
企業訪問
駅・空港への移動

などの需要があります。

国際自動車の昼日勤乗務員も、通勤客を狙うため通常より早く出勤するなど、昼勤ならではの営業方法を紹介しています。

また、予約や無線配車が多い会社では、昼間でも自分で乗客を探す割合を減らせる場合があります。

昼勤で稼げるかは、単に夜間割増がないことだけでは決まりません。

予約・配車が多い会社なら昼勤の差が縮まることもある

タクシーの売上は、勤務時間帯だけでなく会社の営業基盤にも左右されます。

名古屋MKタクシーでは、2023年度実績としてタクシーの予約業務率を、

昼勤70%
夜勤50%

としています。

このように昼間の予約営業が強い会社なら、昼勤でも安定して乗客を確保できる可能性があります。

病院、企業、ホテルなどの法人需要を多く持つ会社でも昼間の営業条件は変わります。

そのため、

「夜勤だから稼げる会社」

より、

「自分が働く時間帯に仕事が入る会社」

を探すことのほうが重要です。

夜勤は売上を伸ばしやすい代わりに生活が昼夜逆転する

夜勤の大きな問題は生活リズムです。

たとえば19時から翌5時まで働くなら、帰宅するのは朝になります。

そこから睡眠を取るため、

朝に寝る
↓
昼・午後に起きる
↓
夕方に出勤する

という生活になります。

一般的な会社員や家族とは生活時間が反対になりやすくなります。

夜勤に慣れていない人は、収入だけでなく「昼間に十分眠れるか」を考える必要があります。

昼勤は毎日の生活時間を合わせやすい

昼勤なら、朝に出勤して夕方から夜に帰宅する勤務が中心です。

一般的な会社員と生活時間が近いため、

夜は家で過ごしたい
家族と夕食を取りたい
昼夜逆転を避けたい
夜間運転に不安がある

という人には選びやすい働き方です。

特に50代以降の転職や、これまで夜勤経験がない人の場合は、収入差だけでなく継続できるかも考えたほうがよいでしょう。

高収入を狙って夜勤を選んでも、睡眠が取れず数カ月で辞めてしまえば意味がありません。

夜勤は日中を自由に使えるメリットもある

夜勤の昼夜逆転はデメリットだけではありません。

昼間に時間を使えるため、

役所
銀行
病院
買い物

などへ行きやすくなります。

通勤ラッシュと出勤時間がずれる会社もあります。

昼間に家族の用事を済ませてから働きたい人にとっては、この生活が合う場合があります。

ただし、昼間をすべて自由時間として使ってしまうと睡眠不足になります。

夜勤では「昼間が休み」ではなく、「昼間に睡眠を取る必要がある」と考えて生活を組むことが重要です。

日勤勤務にも拘束時間と休息期間の基準がある

昼勤・夜勤はどちらも、隔日勤務ではない「日勤勤務者」として改善基準告示の対象になります。

現在の基準では、日勤勤務者について、

1カ月の拘束時間は288時間以内
1日の拘束時間は原則13時間以内
延長しても最大15時間
勤務終了後は継続11時間以上の休息を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない

とされています。

昼勤だから短時間、夜勤だから必ず長時間という制度ではありません。

実際の拘束時間は会社の勤務表を確認する必要があります。

同じ月収なら勤務時間も比べたほうがいい

たとえば、

昼勤で月32万円
夜勤で月38万円

という求人があったとします。

6万円の差だけを見ると夜勤が魅力的です。

しかし夜勤のほうが月の拘束時間や乗務回数が多ければ、1時間当たりで見た差は小さくなる可能性があります。

会社を比較するときは、

月収
月の乗務回数
1回の拘束時間

をセットで見ます。

特に別会社同士で昼勤と夜勤を比べると、給与制度や歩合率まで違うため、「夜勤の月収が高い」という理由だけでは判断できません。

未経験者は給与保証も昼勤と夜勤で違う場合がある

未経験者向けの給与保証額が、昼勤と夜勤で違う会社もあります。

現在の名鉄タクシー系の募集例では、未経験者について6カ月間、

夜日勤など:月30万円
昼日勤:月25万円

という給与保証が設定されています。

つばめタクシーグループの募集でも、固定部分が、

昼勤務:月210,600円+歩合給+諸手当
夜勤務:月246,600円+歩合給+諸手当

と異なる例があります。

未経験者が昼勤と夜勤を比べるなら、通常時の月収だけではなく、最初の数カ月の保証条件まで確認する必要があります。

「夜勤のほうが稼げる」だけで選ばない

収入を最優先するなら、夜勤は有力な選択肢です。

しかし、

夜勤なら誰でも高収入になる
昼勤では稼げない

という関係ではありません。

たとえば夜勤でも、営業地域に夜間需要が少なければ売上は伸びにくくなります。

昼勤でも、予約や無線配車が多く、朝から安定した利用がある会社なら売上を作れます。

また本人が夜勤に合わず、休憩を増やしたり欠勤が増えたりすれば、月収差は縮まります。

勤務形態だけではなく、

営業地域
配車環境
歩合制度
本人の生活との相性

まで含めて考える必要があります。

昼勤が向いている人

昼勤を検討しやすいのは、収入を最大化することより生活の安定を重視する人です。

毎晩自宅で寝たい。

家族と生活時間を合わせたい。

夜間の運転を避けたい。

朝型の生活に慣れている。

このような人なら昼勤のメリットを活かしやすくなります。

また、未経験でまず明るい時間帯に道路や営業地域を覚えたい人にも選択肢になります。

ただし、昼勤でも会社や地域によっては早朝出勤があります。

必ず実際の出庫時間を確認してください。

夜勤が向いている人

夜勤を検討しやすいのは、夜間勤務への抵抗が少なく、収入を優先したい人です。

夜型の生活でも睡眠を確保できる。

夜間運転が苦にならない。

昼間に静かに眠れる環境がある。

家族との生活時間がずれても問題が少ない。

このような条件なら夜勤の収入面のメリットを活かしやすくなります。

特に夜勤経験のある人なら、自分が夜間勤務でどの程度疲れるのかを判断しやすいでしょう。

「稼げるほう」を知りたいなら同じ会社で比較する

昼勤と夜勤を比べるときに最も注意したいのが、別々の会社の求人を比較してしまうことです。

会社Aの昼勤月収30万円と、会社Bの夜勤月収40万円を比べても、

営業地域
歩合率
配車件数
勤務時間
給与保証

が違います。

本当に昼勤と夜勤の収入差を知りたいなら、同じ会社・同じ営業所で比較します。

面接や説明会で、

「昼勤の平均月間売上はいくらですか」

「夜勤の平均月間売上はいくらですか」

「それぞれ平均総支給額はいくらですか」

「月の乗務回数と拘束時間はいくらですか」

と聞けば、かなり比較しやすくなります。

最後は月収差を「夜勤を続ける価値」と比べる

たとえば応募先で、

昼勤平均月収32万円
夜勤平均月収40万円

だったとします。

この場合、月8万円の差があります。

次に考えるのは、

「月8万円増えるなら、夜に働いて昼間に寝る生活を続けたいか」

です。

反対に差が月2万円程度なら、

「そのために生活を昼夜逆転させる必要があるか」

と考えることもできます。

これなら単純に「夜勤のほうが稼げるから夜勤」という選び方ではなくなります。

タクシーの昼勤と夜勤では、一般に夜勤のほうが高収入を狙いやすい傾向があります。

ただし、最終的に重要なのは「最大でいくら稼げるか」ではありません。

候補のタクシー会社を2~3社選び、それぞれについて、

昼勤の平均売上・平均給与
夜勤の平均売上・平均給与
1カ月の乗務回数
1回の拘束時間

を確認してください。

その収入差を見たうえで、自分が毎日どの時間に寝て、どの時間に家族や自分の時間を取るのかまで書き出してみます。

夜勤の収入差に生活リズムを変えるだけの価値を感じるなら夜勤、長く続けられる規則的な生活を優先するなら昼勤。

この順番で考えると、自分に合う勤務を選びやすくなります。

出典

厚生労働省|統計からみるハイヤー・タクシー運転者の仕事
厚生労働省|ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示
厚生労働省|労働条件・職場環境に関するルール
国土交通省関東運輸局|一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について
名古屋タクシー協会|運賃及び料金の仕組み
名鉄タクシーホールディングス|名鉄タクシーで働く魅力
名古屋MKタクシー|採用情報
大和自動車交通株式会社|採用よくあるご質問
宝交通株式会社|募集要項