タクシーの隔日勤務とは、朝から翌日の深夜・早朝まで1回の長い勤務を行い、その勤務が終わった日は「明け休み」として休む働き方です。
毎日8時間程度働く日勤とは違い、2日分の勤務を1回にまとめるイメージになります。
会社によって勤務時間は違いますが、実際の求人では1回の実働が14~16時間前後で、別に休憩時間を設ける例があります。月の乗務回数は11~13回程度が一つの目安です。
「月12回しか出勤しないなら楽そう」と感じるかもしれませんが、1回の勤務は長くなります。
隔日勤務を選ぶなら、出勤回数だけではなく、「1回の勤務時間」「明け休みの過ごし方」「公休が何日あるか」まで確認することが重要です。
隔日勤務は2日分を1回で働く勤務形態
厚生労働省では、タクシーの隔日勤務を、始業と終業が同じ日に収まらず、2労働日の勤務を1勤務にまとめて行う勤務形態としています。
例えば、
1日目 朝8時ごろ出勤
↓
1日目 昼・夕方・夜も乗務
↓
2日目 深夜1時ごろ勤務終了
↓
2日目 明け休み
↓
3日目 次の勤務
という働き方です。
会社によっては翌朝3時や5時ごろまで乗務する勤務もあります。
厚生労働省の職業情報でも、大都市では1回19時間程度の隔日勤務を採用し、そのうち3時間程度を休憩として、月12~13回乗務する例が紹介されています。
ただし、「隔日勤務なら必ず19時間」という意味ではありません。
実際の勤務時間は会社や営業所によって違います。
実働時間と拘束時間は同じではない
タクシー求人を見るときに注意したいのが、「実働時間」と「拘束時間」の違いです。
拘束時間とは、
勤務時間+休憩時間
を含めて、会社に拘束されている時間です。
例えば、
出勤 7時45分
退勤 翌1時
休憩 3時間
なら、会社にいる・営業している時間全体は17時間15分あります。
しかし、3時間の休憩を除けば実際に働く時間は14時間15分です。
求人によって、
「勤務時間17時間」
「実働14時間」
など表記が違うため、数字だけを見ると別の勤務に見えることがあります。
会社を比較するときは、
「出勤から退勤まで何時間か」
「そのうち実働は何時間か」
「休憩は何時間か」
を分けて確認してください。
隔日勤務の拘束時間には上限がある
隔日勤務だからといって、何時間でも働けるわけではありません。
2024年4月から適用されているタクシー運転者の改善基準では、隔日勤務の2暦日の拘束時間は、
22時間以内
とされています。
さらに、2回の隔日勤務を平均した1回当たりの拘束時間は21時間以内にする必要があります。
1か月の拘束時間についても原則262時間以内です。
地域的事情などがあり労使協定を結んだ場合は、年間6か月まで270時間へ延長できる仕組みがあります。
つまり隔日勤務は長時間勤務ではありますが、会社が自由に勤務時間を設定できるわけではありません。
勤務終了後は22時間以上の休息が必要
隔日勤務では、長く働いたあとに十分な休息時間を確保することも定められています。
現在の基準では、勤務終了後、
継続24時間以上の休息を与えるよう努めることを基本
とし、
22時間を下回ってはいけない
とされています。
例えば深夜1時に勤務が終わった場合、原則的な考え方ではその日の朝から再び勤務するようなシフトにはなりません。
次の乗務まで長い休息時間を確保します。
この勤務後の時間が、一般に「明け休み」と呼ばれています。
明け休みと公休は同じではない
隔日勤務を理解するときに、最も間違えやすいのが「明け休み」と「公休」です。
例えば深夜1時に勤務を終えた場合、その日はそれ以降仕事をしません。
これが明け休みです。
一方、公休は会社の勤務表で設定される所定の休日です。
つまり、
乗務
↓
明け休み
↓
乗務
↓
明け休み
↓
公休
のような勤務表があります。
大和自動車交通では、隔日勤務で月12回乗務、明け休みが12回程度あり、それとは別に月6~7日の休日を設定する勤務例を公開しています。
国際自動車でも、隔日勤務は月11回乗務で、明け休みを除いて月7~9日の休日としています。
そのため求人で、
「月の出勤は11~12回」
と書かれていても、
「月の休日が18~19日ある」
という意味とは限りません。
カレンダー上で仕事をしない日は多く見えますが、その中には長時間勤務を終えた直後の明け休みも含まれます。
隔日勤務の1日の流れ
会社によって違いますが、朝から勤務を始める隔日勤務なら、例えば次のような流れになります。
| 時間 | 主な流れ |
|---|---|
| 7:30ごろ | 出勤・着替え・アルコールチェック |
| 7:45ごろ | 点呼・車両点検 |
| 8:00ごろ | 出庫・営業開始 |
| 午前~昼 | 通勤・病院・仕事などの利用客を乗せる |
| 昼ごろ | 食事・休憩 |
| 午後 | 営業を続ける |
| 夕方~夜 | 帰宅・会食などの需要に対応 |
| 夜 | 休憩 |
| 深夜 | 終電後などの利用客に対応 |
| 翌1:00ごろ | 帰庫 |
| 帰庫後 | 納金・日報・洗車・終業 |
これはあくまで一例です。
会社によっては朝7時台から翌3時ごろまで、午前10時台から翌朝7時台までなど、出庫時間そのものが違います。
隔日勤務だから全員が同じ時刻に働くわけではありません。
休憩はまとめて3時間取るとは限らない
隔日勤務の求人では、休憩3時間程度としている会社をよく見かけます。
ただし、
昼12時から15時まで3時間休む
というように、一度にまとめて休憩するとは限りません。
例えば、
昼食 1時間
夕方 30分
夜 1時間
深夜 30分
のように分けて取ることもあります。
実際に乗務員自身が、営業状況や疲労状態を見ながら休憩時間を調整している会社があります。
タクシーは乗客の利用が多い時間帯が変化するため、
「今は営業する」
「この時間に食事を取る」
「眠気を感じる前に少し休む」
と自分で考えて行動することになります。
自由度がある反面、休憩を自分で管理する必要がある働き方です。
明け休みは「丸一日自由」と考えすぎない
隔日勤務のメリットとして、
「明け休みがあるので自由時間が多い」
と説明されることがあります。
確かに、勤務終了後は次の乗務までまとまった時間があります。
ただし、前日から長時間勤務した直後です。
例えば翌朝3時に勤務が終わったなら、帰宅するころには朝になっています。
そこから睡眠を取れば、明け休みのかなりの時間を休養に使う人もいるでしょう。
実際にタクシー会社が紹介する乗務員の例でも、勤務後は自宅で寝たり、ゆっくり過ごしたりして体を回復させています。
したがって、
「月12回勤務だから、残り18日は全部休日」
とは考えないほうが現実的です。
明け休みは、長時間勤務から回復するための時間という面もあります。
公休と組み合わさると連休になることがある
一方、隔日勤務では明け休みと公休が続くことで、まとまった自由時間になることがあります。
例えば、
月曜日 乗務
火曜日 明け休み
水曜日 乗務
木曜日 明け休み
金曜日 公休
という勤務なら、木曜日の明けから金曜日まで長く仕事がありません。
会社やシフトによっては、公休や有給休暇を組み合わせて連休を取れる場合もあります。
平日に自由時間を取りやすいため、
・役所や病院へ行く
・買い物をする
・平日に趣味を楽しむ
・家族の予定に合わせる
といった使い方がしやすい人もいます。
ただし、シフト変更や連休の取りやすさは会社によって違います。
隔日勤務が合いやすい人
隔日勤務は、出勤回数を少なくして、勤務と休みをはっきり分けたい人には合いやすい働き方です。
例えば、
「毎日会社へ通勤するより、1回長く働いて翌日は休みたい」
という人にはメリットがあります。
また、一人で長時間運転することに慣れている人や、自分で休憩を管理できる人とも相性があります。
トラックなどで長時間運転の経験がある人なら、勤務時間そのものには比較的なじみやすい場合もあるでしょう。
ただし、タクシーでは長時間運転に加えて乗客対応が続きます。
単に「長く運転できる」だけで判断しないほうがよいでしょう。
隔日勤務がきつく感じやすい人
反対に、
・夜中まで起きていることが苦手
・睡眠時間が変わると体調を崩しやすい
・長時間座っていることがつらい
・集中力が長く続かない
・毎日同じ生活リズムで働きたい
という人は、隔日勤務が負担になる可能性があります。
特に50代、60代からタクシーへ転職する場合は、
「月11回しか出勤しないから楽そう」
という理由だけで隔日勤務を選ばないほうがよいでしょう。
昼日勤を選べる会社もあります。
隔日勤務で長時間働くほうが楽なのか、毎日短い時間で働くほうが楽なのかは、人によって違います。
日勤と隔日勤務は勤務時間だけで比較しない
タクシー会社には、隔日勤務以外にも昼日勤や夜日勤があります。
おおまかに整理すると次のようになります。
| 勤務形態 | 主な働き方 |
|---|---|
| 昼日勤 | 朝から夕方を中心に勤務 |
| 夜日勤 | 夕方・夜から深夜・早朝を中心に勤務 |
| 隔日勤務 | 朝などに始まり翌日まで長時間勤務 |
日勤は1回の勤務が短い代わりに、出勤回数が多くなります。
隔日勤務は出勤回数が少ない代わりに、1回の勤務が長くなります。
そのため「休みが多いか」だけではなく、
出勤回数
1回の実働時間
夜間勤務の長さ
次の勤務までの休息
通勤時間
まで含めて比較してください。
通勤時間が長い人は明け休みまで考える
隔日勤務で意外に影響するのが営業所までの通勤時間です。
例えば翌朝2時に勤務が終わり、その後に納金や洗車をしてから帰宅するとします。
営業所から自宅まで1時間かかれば、帰宅はさらに遅くなります。
翌日は明け休みでも、その日の睡眠時間が増えれば自由に使える時間は短くなります。
隔日勤務を選ぶなら、
「営業所まで片道何分か」
も会社選びの重要な条件です。
特に自動車通勤できるか、公共交通機関が動いていない時間帯に退勤する場合どう帰宅するかは確認しておきましょう。
求人では「月○回勤務」だけで決めない
隔日勤務の求人を比べるときは、少なくとも次の項目を確認してください。
| 確認項目 | 見るところ |
|---|---|
| 出勤時刻 | 何時から始まるか |
| 退勤時刻 | 翌日の何時までか |
| 実働時間 | 何時間働くか |
| 休憩 | 合計何時間か |
| 月の乗務数 | 11回・12回など |
| 公休 | 明け休みとは別に何日あるか |
| シフト | 固定か変更できるか |
| 通勤 | 深夜・早朝でも帰宅できるか |
例えば同じ「月11回の隔日勤務」でも、
朝8時~翌1時
と、
午前11時~翌5時30分
では生活リズムがかなり違います。
求人票に月の乗務回数しか書かれていなければ、勤務開始・終了時刻まで確認してください。
隔日勤務は実際の勤務表を見てから決める
隔日勤務は、1回の勤務時間が長い代わりに、翌日に明け休みが入るタクシー特有の働き方です。
現在の改善基準では、隔日勤務の2暦日の拘束時間は22時間以内、次の勤務までの休息期間は22時間を下回らないこととされています。
一方、実際のタクシー会社では、実働14~16時間前後に休憩を加え、月11~12回程度乗務する勤務例があります。
ただし、
「月12回勤務=月の半分以上が自由」
とだけ考えないほうがよいでしょう。
明け休みには長時間勤務から体を回復させる役割があります。
隔日勤務が気になるなら、会社説明会で、
「実際の1か月分の勤務表を見せてもらえますか」
と聞いてください。
その勤務表で、
「出番」
「明け休み」
「公休」
を色分けして、自分ならいつ寝て、いつ家族や趣味の時間を取るかまで考えてみます。
勤務時間の数字だけを見るより、1か月の生活をカレンダーに当てはめるほうが、自分に隔日勤務が合うか判断しやすくなります。
出典
厚生労働省|ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示
厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag)「タクシー運転手」
厚生労働省|統計からみるハイヤー・タクシー運転者の仕事
大和自動車交通株式会社|タクシー乗務員 経験者採用
大和自動車交通株式会社|採用よくあるご質問
国際自動車株式会社|募集要項・選考フロー
日の丸交通株式会社|自分の時間を持つのに便利な隔日勤務。多趣味&夢追い人のドライバーのオンとオフとは。
