50代後半からタクシー運転手へ転職することは可能です。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、タクシー・ハイヤー運転手の全国平均年齢は56.8歳です。50代後半だから特別に遅い職種ではありません。
ただし、「同年代が多いから自分も大丈夫」とは限りません。
50代後半から転職する場合は、採用されるかどうかよりも、一回の勤務時間を続けられるか、転職後に必要な収入を確保できるか、60歳を過ぎても働ける会社なのかを確認することが重要です。
特に体力面が気になるなら、タクシーを諦める前に「隔日勤務以外を選べないか」まで確認してみる必要があります。
50代後半はタクシー業界では珍しい年齢ではない
令和7年賃金構造基本統計調査をもとにしたjob tagでは、タクシー運転手の全国平均年齢は56.8歳となっています。
つまり、55歳から59歳は業界全体から見れば中心に近い年齢層です。
現在のタクシー会社の求人でも、中高年や未経験者を応募対象としている会社があります。
65歳以上の乗務員が働いていると案内している会社もあります。
そのため、
「57歳だから今からタクシーは遅い」
「未経験だから50代では採用されない」
と年齢だけで判断する必要はありません。
ただし平均年齢56.8歳は、現在働いている人の平均です。
「56歳から未経験で転職した人の平均」ではありません。
50代後半から入るなら、年齢そのものより、今から新しい働き方へ適応できるかを見る必要があります。
50代後半で一番確認したいのは隔日勤務を続けられるか
タクシーの特徴的な働き方に隔日勤務があります。
朝に出勤し、翌日の深夜・早朝近くまで勤務するなど、一回の勤務が二つの日付にまたがる働き方です。
現在の改善基準告示では、隔日勤務について2暦日の拘束時間は22時間以内、さらに2回の隔日勤務を平均して1回21時間以内とする基準があります。
ここでいう拘束時間には休憩時間も含まれるため、21時間ずっと運転するという意味ではありません。
それでも、一般的な8時間勤務とは生活リズムが大きく違います。
50代後半から転職するときは、
「月の出勤回数が少ない」
だけで判断しないほうがよいでしょう。
実際に確認したいのは、
何時に出勤するのか
何時に帰宅するのか
勤務中にどの程度休憩できるのか
帰宅後どの程度休んで次の勤務になるのか
という一連の流れです。
隔日勤務がきつそうなら日勤を選べる会社もある
タクシー運転手になるなら隔日勤務をしなければならない、というわけではありません。
会社によっては、昼日勤や夜日勤を募集しています。
昼日勤なら、朝から夕方・夜まで働き、通常はその日のうちに勤務を終える形になります。
現在の改善基準では、日勤の拘束時間は原則1日13時間以内、最大15時間とされています。
実際の勤務時間は会社によって異なります。
50代後半の場合は、
「隔日勤務を続けられるか」
だけでタクシーへの転職を判断するのではなく、
「昼日勤なら続けられそうか」
まで確認したほうが選択肢は広がります。
若い人と同じ働き方を選ぶ必要はありません。
自分が続けられる勤務を選べる会社かどうかが重要です。
体力面は「重い物を持てるか」ではなく集中を続けられるか
タクシーは、建設業や配送業のように重い荷物を一日中運ぶ仕事ではありません。
そのため、体力仕事から50代後半で転職を考える人には魅力的に見えることがあります。
しかし、座っているから体力的に楽とは限りません。
長い時間車内で過ごしながら、
安全確認
経路判断
乗客への対応
周囲の交通状況の確認
を続けます。
さらに売上を意識しながら営業する会社では、どこへ行くか、いつ休むかも考える必要があります。
50代後半で確認したいのは、
「重労働ではないから大丈夫」
ではなく、
「長時間座って運転し、集中した状態を繰り返せるか」
です。
休憩を取れる会社かも確認したい
タクシー乗務では、勤務途中に休憩があります。
現在の改善基準でも、勤務終了後に必要な休息期間が定められています。
ただし、実際の乗務中にどのようなペースで休憩するのかは、勤務や会社によって違います。
売上を上げたいからと無理を続ける働き方は、50代後半から長く続ける方法としては考えにくいでしょう。
求人を見るときは勤務時間だけでなく、
「乗務員は実際にどのように休憩を取っていますか」
と聞いてみると働き方を想像しやすくなります。
一回の勤務時間と休憩の取り方はセットで確認したほうがよいでしょう。
収入は平均年収450万円だけでは判断できない
job tagでは、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにしたタクシー運転手の全国年収は450.8万円となっています。
ただし、50代後半で未経験転職したら450万円もらえるという意味ではありません。
タクシー会社では、基本給などに加えて売上に応じて給与が変わる歩合制度を採用している会社が多くあります。
営業地域、勤務形態、会社の給与制度、本人の売上によって収入は変わります。
50代後半では、転職前の給与と比べることも重要です。
たとえば前職で長く勤めて年収500万円を受け取っていたとしても、タクシー会社では未経験者としてスタートします。
前職の勤続年数や役職が、そのまま給与へ引き継がれるわけではありません。
50代後半では「最高年収」より最低必要額を先に決める
求人には、
「年収600万円以上可能」
「月収50万円以上可能」
といった高収入例が掲載されていることがあります。
もちろん実際に高収入を得る乗務員がいる会社もあります。
しかし、50代後半からの転職では、最高額よりも自分が毎月必要とする金額を先に決めたほうがよいでしょう。
住宅ローンが残っている。
家賃が必要。
家族の生活費がある。
老後のための貯蓄を続けたい。
条件は人によって違います。
仮に毎月総支給30万円程度は必要だと分かっていれば、
「未経験1年目で30万円前後を現実的に確保できる会社か」
という見方ができます。
単に「稼げるタクシー会社」を探すより判断しやすくなります。
給与保証があるなら終了後まで見る
未経験者向けに、一定期間の給与保証を設けているタクシー会社があります。
たとえば入社後1年間など、一定期間の給与を保証する求人があります。
50代後半から新しい仕事へ転職するときには安心材料になります。
ただし、見るべきなのは保証期間だけではありません。
本当に重要なのは、
「給与保証終了後にいくら売り上げれば、いくらの給与になるのか」
です。
57歳で転職し、1年間だけ収入が安定しても、その後に大きく収入が下がってしまえば長期的には困ります。
給与保証は転職直後の支援。
通常の歩合制度はその後の生活。
分けて確認してください。
50代後半なら60歳以降の雇用条件も必ず確認する
58歳で転職すれば、60歳までは約2年です。
ここは40代の転職とは大きく違います。
会社によって定年年齢や定年後の働き方は異なります。
実際に、60歳から65歳の間で定年時期を選択でき、その後も乗務できる制度を設けているタクシー会社があります。
一方で、会社によって雇用形態、勤務日数、給与制度などは違います。
50代後半で会社を見るなら、
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 定年 | 何歳まで正社員として働けるか |
| 継続雇用 | 定年後も乗務できるか |
| 給与 | 60歳以降に給与体系が変わるか |
| 勤務 | 日数や勤務形態が変わるか |
| 二種免許 | 未経験者の取得を支援しているか |
まで確認しておきたいところです。
「58歳でも入社できますか」だけでは足りません。
「58歳で入社したら、63歳・65歳ではどのような働き方になりますか」と聞いたほうが、転職先として判断しやすくなります。
50代後半で始めるなら最初から高売上を狙わなくてもいい
タクシーは売上に応じて給与が変わるため、どうしても高収入の乗務員が目立ちます。
しかし、50代後半で重要なのは、自分が何を優先するかです。
夜まで長く働いて高収入を狙いたい人もいれば、昼日勤を中心に無理なく長く続けたい人もいます。
タクシー転職の目的が、
「前職以上に稼ぎたい」
のか、
「60代以降も続けられる仕事へ移りたい」
のかでは、選ぶ会社や勤務形態も変わります。
収入最大化と身体的な負担の少なさを、両方最大にできるとは限りません。
50代後半なら、自分がどちらを優先するのかを先に決めておくと会社を選びやすくなります。
50代後半から向いているかは4項目で確認する
年齢だけでは判断できないため、次の4項目を実際の生活に当てはめてみてください。
| 確認すること | 判断する内容 |
|---|---|
| 収入 | 毎月必要な金額を確保できそうか |
| 勤務 | 隔日勤務・昼日勤などを続けられそうか |
| 体力 | 長時間の運転と集中を繰り返せそうか |
| 60歳以降 | 希望する年齢まで働ける制度があるか |
4つすべてを確認して初めて、「50代後半からタクシー運転手になるか」を判断できます。
「平均年齢が高いから大丈夫」
でも、
「長時間勤務だから絶対に無理」
でもありません。
会社と勤務形態によって条件は変えられます。
まず3社に同じ質問をして比べる
50代後半からタクシー転職を考えているなら、いきなり応募する必要はありません。
未経験者を募集している会社を2~3社見つけて、同じ質問をしてください。
「57歳・58歳の未経験者でも採用していますか」
「隔日勤務以外に昼日勤は選べますか」
「未経験1年目の一般的な給与はいくらですか」
「給与保証終了後はどのような給与計算になりますか」
「定年は何歳で、その後も働けますか」
この回答を横に並べると、自分が続けられそうな会社かどうかがかなり見えてきます。
50代後半からタクシー運転手になること自体は、年齢だけを理由に諦める必要はありません。
ただし、若い人と同じ働き方を無理に選ぶ必要もありません。
収入、勤務時間、休憩、60歳以降の働き方を確認し、自分が無理なく続けられる会社を選ぶことが、50代後半からの転職では特に重要です。
出典
厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag) タクシー運転手
厚生労働省|ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示
厚生労働省|令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況
日本交通株式会社|よくあるご質問
日本交通株式会社|募集要項
