60代から未経験でタクシー運転手になることは可能です。
タクシー業界はもともと中高年の運転手が多く、60代の乗務員も珍しくありません。実際に60代未経験者を採用対象として明記しているタクシー会社もあります。
ただし、60代の転職では「タクシー運転手は何歳までできるのか」だけを見ても判断できません。
特に重要なのは、新しく入社できる年齢と、入社後に働き続けられる年齢を分けて確認することです。
「75歳まで勤務可能」と書かれていても、70歳の未経験者を新規採用しているとは限りません。
定年後にタクシーへ転職するなら、応募年齢、二種免許、健康面、勤務形態、給与、定年後の雇用まで順番に確認しましょう。
60代はタクシー業界では珍しい年齢ではない
タクシー運転手は、他の職種に比べて年齢層が高い仕事です。
厚生労働省の職業情報では、タクシー運転手の平均年齢は56.8歳です。
一方、国土交通省の別の統計では、2024年のタクシー運転手の平均年齢は60歳を超えています。
統計によって対象や集計方法が異なるため数字には差がありますが、共通しているのは、50代後半から60歳前後の運転手が多い業界だということです。
そのため、60歳になったことだけを理由に「もうタクシー会社には入れない」と考える必要はありません。
実際、60代を採用対象として明記している会社もあります。
ただし、60歳と68歳では採用条件が同じとは限りません。
60代という大きなくくりではなく、自分の年齢で新規採用している会社を探すことが必要です。
「何歳まで働けるか」と「何歳まで入社できるか」は別
60代の会社選びで最も注意したいのが、この違いです。
求人ページに、
「70歳まで勤務可能」
「75歳まで働けます」
と書かれていると、70歳前後でも新しく入社できるように見えることがあります。
しかし、その年齢は、すでに在籍している乗務員が定年後も継続して勤務できる上限を示している場合があります。
例えば、ある会社では70歳を選択定年とし、その後も条件を満たせば75歳まで雇用を継続しています。
別の会社では60~65歳の間で定年を選べ、その後も乗務できる制度を設けています。
これは「長く働ける会社」であることは示していますが、「その年齢まで新規採用する」という意味とは限りません。
60代から応募するときは、
・新規採用は何歳までか
・定年は何歳か
・定年後は再雇用されるのか
・再雇用後に勤務日数や給与が変わるのか
を別々に確認してください。
未経験でも二種免許を持っていなくてよい会社がある
タクシーで乗客を乗せて営業するには、普通第二種運転免許が必要です。
ただし、定年後にタクシーへ転職するために、最初から自費で二種免許を取る必要があるとは限りません。
未経験者を採用しているタクシー会社では、入社後に二種免許を取得させ、取得費用を会社が負担するところがあります。
したがって、60代未経験者なら、先に免許を取るよりも、
「自分の年齢でも未経験採用の対象になるか」
「二種免許取得費用を会社が負担するか」
を会社に確認してから動くほうが無駄がありません。
会社負担の場合も、一定期間以内に退職した場合の費用負担など、条件が付いていないか確認しておきましょう。
60代では健康状態も採用時の重要な確認事項になる
タクシーは乗客を乗せる事業用自動車です。
そのため、年齢だけではなく、安全に運転を続けられる健康状態かという点も重要になります。
タクシー会社によっては、採用時に健康診断を実施し、その結果も含めて採用を判断しています。
60代だから不採用になるという話ではありません。
重要なのは、年齢ではなく現在の状態です。
特に長時間の運転や夜間勤務を考えている場合は、
・視力
・睡眠
・血圧などの健康状態
・長時間座った状態で働けるか
・夜間でも集中力を維持できるか
といった点を自分でも確認しておく必要があります。
国土交通省も、事業用自動車の運転者について健康管理マニュアルを設け、睡眠時無呼吸症候群、脳血管疾患、心臓疾患、視野障害などへの対策を示しています。
60代から長く働くなら、求人の給与だけでなく、会社が健康診断や睡眠時無呼吸症候群の検査などにどの程度取り組んでいるかも会社選びの材料になります。
隔日勤務がきついなら昼日勤を探す
タクシー会社では、朝から翌日の早朝まで乗務して、その後に明け休みを取る「隔日勤務」がよく採用されています。
勤務する日数を少なくできる反面、1回の勤務時間は長くなります。
定年後に、
「毎日会社へ行かなくてよいなら隔日勤務が楽そうだ」
と考える人もいるかもしれません。
しかし、60代では勤務日数だけではなく、1回の勤務を無理なく続けられるかで考えたほうがよいでしょう。
会社によっては、
・隔日勤務
・昼日勤
・夜日勤
・短時間勤務
など複数の働き方があります。
夜間の長時間運転に不安があるなら、昼日勤を選べる会社を探す方法があります。
「隔日勤務ができないからタクシーは無理」と判断する前に、勤務形態を選べる会社がないか確認してみてください。
定年後なら「いくら稼ぎたいか」を先に決めておく
60代からのタクシー転職では、現役世代と同じ収入を最優先する人ばかりではありません。
例えば、
「年金に加えて毎月一定額を得たい」
「まだ住宅ローンがあるのでしっかり働きたい」
「週に何日か働ければよい」
では、選ぶ会社や勤務形態が変わります。
タクシー会社では売上に応じて給与が変わる歩合制度を取り入れているところが多いため、勤務日数を減らせば単純に同じ収入を維持できるとは限りません。
会社を見る前に、
「最低でも月いくら必要なのか」
「そのためなら月何日働けるのか」
を決めておくと、求人を比較しやすくなります。
高収入の実例だけを見るのではなく、自分が希望する勤務日数でどの程度の収入を見込めるのかを会社説明会で確認してください。
年金を受け取りながら働くなら手取りも確認する
定年後の転職では、給与だけでなく年金との関係も確認しておきたいところです。
年齢や働き方によっては、給与を受け取りながら老齢厚生年金を受け取る人もいます。
この場合、給与額などによって在職老齢年金の仕組みが関係することがあります。
また、社会保険への加入状況によっても手取りは変わります。
「月給30万円」と表示されていても、それがそのまま自由に使える金額になるわけではありません。
年金を受給している人は、応募前に現在の年金額を確認し、働いた場合に年金や社会保険がどうなるかを年金事務所などで確認しておくと、必要以上に働いたり、想定より手取りが少なくなったりするのを防ぎやすくなります。
70歳以降も働きたいなら免許更新も考えておく
60代前半からタクシー運転手を始めれば、数年間働いたあとに70歳を迎える可能性があります。
運転免許は年齢によって更新手続が変わります。
70歳以上で免許を更新する場合は高齢者講習が必要です。
75歳以上になると認知機能検査も必要となり、一定の違反歴がある人については運転技能検査の対象となります。
つまり、70代でも免許を保有して一定の条件を満たせば運転を続けられる仕組みになっていますが、60代までとまったく同じではありません。
「65歳から始めて70歳くらいまで働きたい」のか、「できれば75歳近くまで働きたい」のかでも、会社選びは変わります。
長く働きたい人ほど、再雇用制度まで確認しておいたほうがよいでしょう。
60代未経験なら会社選びで確認したいこと
60代からの転職では、求人に「シニア活躍中」と書かれているだけでは判断できません。
少なくとも、次の条件は会社ごとに確認しておきましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 新規採用年齢 | 自分の年齢で未経験応募できるか |
| 二種免許 | 会社負担で取得できるか |
| 健康診断 | 採用時の基準や検査内容 |
| 勤務形態 | 隔日・昼日勤・短時間勤務を選べるか |
| 研修 | 未経験者向け研修があるか |
| 給与 | 固定部分・歩合・給与保証 |
| 定年 | 何歳で定年になるか |
| 再雇用 | 定年後は何歳まで働けるか |
| 再雇用後 | 給与や勤務条件がどう変わるか |
特に60代では、「何歳まで働けますか」だけで終わらせないことが重要です。
例えば65歳で入社して70歳まで働ける会社でも、70歳以降は勤務日数や雇用形態が変わるかもしれません。
自分が働きたい年齢まで、どの条件で働けるのかを確認します。
面接前に「60代未経験の採用実績」を聞いてもよい
会社の採用ページに60代歓迎と書かれていなくても、実際には採用している場合があります。
反対に、高齢の乗務員が多数在籍していても、新規採用の年齢には上限を設けている場合があります。
問い合わせるときは、
「現在63歳でタクシー未経験ですが応募できますか」
のように、年齢と未経験であることを最初から伝えると判断が早くなります。
さらに、
「60代未経験で入社した方はいますか」
「入社した場合、何歳まで通常勤務できますか」
「その後の再雇用制度はありますか」
まで確認すると、自分が何年働けるのかが見えてきます。
60代では、会社名や知名度だけで選ぶより、自分の年齢を前提に具体的な回答をしてくれる会社を探すことが重要です。
60代からなら「採用される会社」ではなく「何年続けられる会社か」で選ぶ
60代から未経験でタクシー運転手になることは可能です。
実際に60代を未経験者の採用対象としている会社があり、タクシー業界自体も中高年の乗務員が多い業界です。
ただし、60代前半と60代後半では選べる会社が同じとは限りません。
また、「75歳まで勤務可能」という会社でも、その年齢まで新規採用しているとは限らない点には注意が必要です。
まず通勤可能な範囲から3社ほど選び、
「現在の年齢で未経験入社できるか」
「二種免許取得支援があるか」
「昼日勤を選べるか」
「定年は何歳か」
「再雇用で何歳まで働けるか」
の5点を同じ条件で確認してください。
例えば63歳で入社を考えているなら、「60代歓迎ですか」ではなく、「63歳未経験で入社した場合、通常勤務と再雇用を含めて何歳まで、どの勤務形態で働けますか」と聞くと、自分に必要な答えを得やすくなります。
出典
厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag)「タクシー運転手」
国土交通省|令和7年版 国土交通白書
国土交通省|事業用自動車の安全対策
警察庁|日本在住で日本の運転免許証をお持ちの方
警察庁|認知機能検査について
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